米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」ウェブサイトにこのほど、JPモルガン幹部による「合併と懐疑:米国における中国」と題された記事が掲載された。主な内容は以下の通り。
金融情報の読者ならば知っている通り、中国のバイヤーにかかわるM&A(合併・買収)はますます増えている。データによると、2014年4月から2015年4月までに中国が行った取引額10億ドル以上の対外投資は28件に達した。2005年にはこの数字はわずか2件にすぎなかった。
だが一部分野では、中国の動機に対する懐疑がいまだに居残っている。一部の取引失敗例(8.5%)をあげつらうような風潮もある。だがこのような偏った見方は捨て、その投資の成功や競争者・外国人所有者としての行動などから中国人バイヤーを評価するのが、賢い見方とは言えないだろうか。
中国の経営者を動かしているのは、西側の戦略的資産に対する中国政府を後ろ盾にした悪意ある攻撃ではない。彼らは、国外に業務を拡張しようとしているだけである。中国企業は現在、高い価値のあるブランドを獲得し、成熟度を深める国内の消費者の要求に応えようとしている。
中国の比較的短い国際M&Aの経験は、こうしたバイヤーが隠された動機を持っているとの恐れを抱かせるものとはなっていない。外国企業が国内企業を買収する際には、対米外国投資委員会や類似機構が毎回、国家の安全に対する影響を評価する。問題ありと認められた買収行為がこうした措置で有効に阻止できることは、事実によって証明されている。中国企業はそうした例から、重要な経験を積んでいる。中国化工や海航集団、大連万達などの経験豊かな企業はいずれも、大型の取引における正当で合法的な買収者として公認されている。中国のバイヤーがすべて同じと考えるのは誤りである。これらの企業には、国内のプライベート・エクイティ・ファンドもあれば、A株上場企業もある。
欧米企業と比べると、中国企業は往々にして、買収の収益率をより長期的に評価する傾向がある。これは中国企業の入札者としての魅力を高めている。M&Aでは文化的な融合も重要となる。中国人はすでに、買収した企業のベテラン従業員や専門技能を重視する姿勢を明らかにしている。最近の多くの取引では、買収した企業の経営層の留任を求めるケースが増えている。
中国の買収のターゲットとなった発達市場の企業や株主は、開放的な態度を保つ必要がある。中国企業は往々にして、より長期的な投資に目を向けており、より高い金額を払う意欲を持っている。中国企業の提示額が最良の選択となる可能性は高い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月3日