経済の声・天下財経の報道によると、これまでの長い間、中国の消費者の間で高い人気を誇っていたカップめんやビールの売り上げが苦戦を強いられているという。米・大手投資ファンドのベイン・キャピタルがカンターグループと共同で発表した「中国購買報告書」によると、2015年における中国の日用消費財の売り上げの伸びはわずか3.5%増にとどまり、ここ5年間で最低となった。
ビールの売れ行き不振は労働人口が減少したため?
同報告書はカップめん・ビールの落ち込みについて「ブルーカラー向けの販売が最も打撃を受けている」と分析。数量ベースでカップめんで12.5%減、ビールで3.6%減となった。ビールでは値段の安いビールの落ち込みが大きい。ただその一方で、化粧品が15.5%増、スキンケア用品が13.2%増と伸びている品目もある。
報告書はさらに「ビールの売り上げが減ったのは、労働人口が減少したこと。特にローエンドの製造工場がバングラディシュやベトナムなどのよりコストの低い地域に移管したことが響いた」としている。
ただこうした報告書の分析に対して、余豊慧財経評論員は「一方的な見方で、同意できない」としている。同評論員は「製造業の不振でブルカラーの失業率が高まっている可能性はあるが、それがこれらの製品の販売不振の原因とするのはおかしい。高級ビールを除いてビール産業自体は成長産業とはいえないし、ビールはブルカラーだけでなく、一般の人も結構飲んでいる」と話す。
消費のモデルチェンジ・グレードアップ
同評論員によれば「化粧品やスキンケア用品の販売が伸びる一方で、カップめんやビールが伸びないのは、現在の中国の消費者の“消費の質”が高まっていることを示している。つまり消費のモデルチェンジとレベルアップが進んでいる証拠である」
「消費の質が高まっているということは、収入が増加し、享受できるレベルが高まっているためである。そうなればビールやカップめんなどの基礎レベルの消費は当然減少する。これまでは“食べることができれば良く”、基本的な生活要求を維持できればよかった。しかし今はそうではない。人は何かを享受できるものを求めるようになった。外観や容貌に気を使うようになった。化粧品などに対する人気が高まるのは当然だろう」
人々の健康に対する意識が高まるにつれ、健康食品の売り上げも好調である。2015年は袋詰食品の売り上げが減少傾向にあったが、ケーキ類やキャンデイ、アイスクリームの販売量はどれも11%を上回る伸びとなった。健康に対する関心の高まりが背景にある。さらに健康食品の売り上げは、ヨーグルトで20.6%増、機能性飲料が6%増などとなっている。
人々は日用消費財の消費を減らして、その分を何の消費に向けているのだろうか。中国経済が成熟するのに伴い、日用消費財に対する支出の家計に占める割合は、先進国のレベルまでに低下しつつある。その一方で、健康や生活の質、旅行、レジャーに関係した業界では成長率が2桁に上っている。2011年から2015年まで、映画館の売り上げの伸び率は年平均35.4%、海外旅行が同28%、浄水器では50%を超えている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月9日