実際、中国の車載電池市場においてサムスンに残された時間はすでに少ない。
北京にあるサムスン中国で中国政府との交渉にあたる担当者の間で6月下旬、多くの落胆する声が聞こえた。車載電池企業の国家認証を得るための申請書類が却下されたからだ。現在までに認証を獲得した企業は約60社で、そのほとんどが中国企業である。これは、電気自動車などに使うキーデバイスの国産化を強化することが中国政府の意向であることを示している。
「BYDへの出資を通じて、中国政府の心証を良くしたいのかもしれない」。今回のサムスンによるBYDへの出資を、そう推測する人もいる。中国の電気自動車産業を支える企業との提携こそが、認証獲得の最後の一手と言えるのかもしれない。