「ウォークラフト」、「ジュラシック・ワールド」、「インターステラー」、「パシフィック・リム」――これらの映画は中国本土の興行収入で歴代トップ50に入る大作ばかりだ。これらを制作した米レジェンダリー・エンターテインメントは2016年、中国の大連万達集団に買収された。これを含め、過去4年間にわたる買収合併を見ると、大連万達集団は世界の映画市場で主導的地位の確立を目指していることがわかる。これは制作費の高い「ハリウッド映画」を中国が制作する時代になるということだろうか?
米フォーブスは、「中国の映画制作会社との提携開始は良いことづくめ」だと指摘する。海外の制作・興行会社や投資家と提携すれば、経済リスクを低減し、幅広い地域で映画作品を上映できる。ハリウッドも当然のことながら、今後の伸びが期待できる中国市場を足がかりに、収入増とともに、失敗作が出た時の減損を図る。
フォーブスは、「巨大な成長潜在力が無ければ、このような買収合併は交渉により成立することがない」と指摘。大連万達集団のような財閥にとっては、世界のエンターテイメント産業でトップを狙う野心を満たすには「パートナーシップ」の確立が最善の策となる。成功した著名企業を買収できれば、映画制作会社をゼロから立ち上げる必要はないだろう。買収は大連万達集団のシナリオの要となる戦術だ。彼らは2012年に米AMCシアターズを買収。2015年にはオーストラリアの映画館チェーンHoytsグループを買収。今年は米レジェンダリー・エンターテインメントを買収し、ワンダシネマライン社(万達電影院線)は世界で興行収入トップの映画会社となった。