活力と連動の意義
このほか、G20杭州サミットのテーマである「活力」と「連動」についてですが、グローバル経済の発展には、各国が金融や財政政策の機動的運用に頼りすぎることなく、発展のための新たなエネルギー源として、例えば、貿易の自由化、投資の円滑化のための「枠組みつくり」(FTAなど)、イノベーション経済の推進で、先進国と新興国などが協調するとの含意が読み取れます。
この点、世界第一位の貿易大国であり、同三位の対外直接投資国である中国は、国内においては、大胆な国有企業改革を伴った供給サイド改革(構造改革・産業再編)を推進しており、対外的には、国際産能合作(中国産業の海外進出の新モデル)による海外インフラ整備などで国際協力を積極化しつつあるなど、「活力」と「連動」の世界を実践しているといえるでしょう。G20杭州サミットが、「創新、活力、連動、包容」の「中国プラン」を世界経済の発展にどう結び付けるのか、注視したいものです。
天に楽園、地に一帯一路あり
最後に、「中国プラン」の最大公約数は何か。筆者は、「一帯一路」構想(2013年9月、10月に提起)にあると考えます。G20杭州サミットは「一帯一路」構想の誕生からまる3周年目の開催となります。3年の紆余曲折を経て、今や、「一帯一路」構想は65ヵ国・地域が関係する「世界の公共財」としての色彩を強め、グローバル経済に新たな方向性とエネルギーを注入しつつあるといっても過言ではありません。同構想は、「共商、共建、共享」(共に協議し、共に建設し、共に享受する)を原則として遂行するとしています。この点は、G20杭州サミットのテーマ、例えば、包容(みんなの利益)の構築に通じています。
中国は、今後、「一帯一路」沿線国との「伙伴関係」注3の構築、その強化と発展を図りつつ、同構想における「ウインウイン関係」の拡大を図っていくのではないでしょうか。
ホスト国として、「一帯一路」構想を、世界の公共財として、G20関係国・機関とどうコンセンサスを得るのか、中国のリーダーシップの発揮に期待したいものです。
注1 新機軸、狭義では技術革新のこと
注2 「共同声明」では、“eコマース、ビッグデータなどの創造経済(Innovation Economy)分野における協力強化となっているが、一般的には、バイオ、人工知能、ロボット産業など広範な経済分野に及ぶ
注3 相互の立場、条件を尊重し、元首の共同声明をもって構築される。2015年末時点、伙伴関係は15種類。先進国では、米国と日本が未構築。
「人民中国」より 2016年8月30日