国家発展改革委員会のウェブサイトは29日、同委員会社会発展研究所の研究報告書を発表した。それによると、中国企業の社会保険(計5種類)の賃金に占める割合が39.25%になっており、統計対象となった173カ国・地域のうち13位となった。
高額な「五険一金(年金保険、失業保険、医療保険、傷害保険、出産保険、住宅公共積立金)」は、中国製造業の大きな問題となっている。保険料率引き下げは、企業の生産・経営の負担を軽減する重要な措置だ。
中国人1人でインドネシア人3.5人が雇用可能
各地の住宅公共積立金は10−24%に達する。中国の「五険一金」の名目上の割合は6割ほどに達している。
この研究報告書は、中国の高額な「五険一金」と、料金徴収基準の確定・成長メカニズムの不備が、企業の人件費高騰を促し、企業の生産・経営の安定に影響を及ぼす重要な要素となっており、中国製造業の競争力を大きく損ねていると指摘した。
中国人1人分の人件費があれば、タイで1.5人、フィリピンで2.5人、インドネシアで3.5人を雇用できる。これにより中国の人件費のメリットが、東南アジア諸国に奪われている。
保険料率引き下げで収益拡大
報告書は、「五険一金」の保険料率の合理的な調節、より公平かつ合理的な保険料率决定メカニズムの制定は、企業の生産・経営の負担を軽減し、人件費の過度な高騰を抑制し、生産要素資源の配置を改善する重要な措置であり、安定成長・雇用促進・構造調整を促すと分析した。
中国の社会保険基金徴収状況から判断すると、保険料率引き下げにより企業の負担を毎年1000億元以上軽減できる。企業の住宅公共積立金の納入率を引き下げることで、企業の負担を毎年400億元ほど軽減できる。各種措置により負担を1500億元ほど軽減できる。これにより企業の人件費を削減し、企業のコスト管理に積極的な力を発揮する。これはまた企業のモデルチェンジとアップグレード、革新的な発展にも有利だ。
企業の負担軽減部分を職員の賃金と企業投資に半分ずつ分配したならば、これまでの投資・消費のGDPとの関係から推算し、なおかつ政策の相殺効果を差し引いた場合、2016年のGDP成長率を約0.137ポイント引き上げることが可能だ。」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月30日