欧州の国々や米国、日本などのいわゆる先進国のメディアが最近、中国資本の企業の海外での合併・買収(M&A)について伝える際には、「納得いかない」といったトーンが多かれ少なかれ垣間見える。しかし海外の新聞の評論は往々にして、最良の教師、医師となる。彼らの論評を通じて、国内の同業者からはなかなか聞けない確かで役立つ情報を得られるかもしれない。
第一に、国外では、中国企業のM&Aの資金源が信頼できるかとの不安の声が上がっている。この点は、買収される企業の安全にとって非常に重要となる。
海外企業は、中国の協力者側が信用と信頼に足りる企業で、M&Aのために巨額の債務を背負ったりすることがないことを望んでいる。買収される企業にとってもそれは本意ではない。彼らは、中国資本の企業の安全性を心配しているだけでなく、自らの企業の従業員の将来の雇用が長期的に安定したものとなるかという問題についても関心を抱いている。現地の社会の安定という大事にかかわる問題となる。
第二に、外国企業は、巨額の資金にただ擦り寄ろうとしているわけではなく、田舎の成金でも金持ちなら嫁に行こうというのとは話が違う。彼らが最も関心を持っているのは、買収契約の条項や細則ではなく、中国企業がどれほどの経営能力を持っているかだ。新たな法律環境や新たな人脈ネットワーク、新たな交流手段、新たな言語コミュニケーションはいずれも、中国企業の能力や忍耐心を試すものとなる。以前、日本や韓国で名を上げた多くの工業メーカーが欧州で失敗し、悲惨な結果に終わったことを忘れてはならない。
第三に、中国企業は、「学費を払うのは避けられない」という考え方を捨て、「成功しなければ人ではない」という意気を打ち立てなければならない。
学費を払わなければならない冒険だという気持ちでM&Aを行うのは、絶対に成功すると約束することができない無責任な卑怯者である。国家の資金(個人の資金を含む)に対して責任を負わないということであり、身勝手な行為にほかならない。こうした風潮は止めなければならず、助長してはならない。
9月にはG20サミットが杭州で開かれる。中国はサミットで、世界経済の車輪を回すための「中国のプラン」を打ち出す。中国企業は現在、すべての力を集中させ、新たな挑戦を迎える準備をしている。(文:劉志勤・中国人民大学重陽金融研究院高級研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月2日