【2】中日経済貿易関係は相互補完性が強く、互恵的である。
市場経済の原理の下で、中日の経済貿易関係は長期的な発展を遂げた。良好な基盤を築き、好循環の仕組みを形成した。中日経済は相互補完性が強く、協力しやすいため、相互利益を実現できた。中日国交正常化以来、中日両国の政治的関係は紆余曲折を経てきたが、経済関係は全体的に健全な発展を遂げたと言える。1990年代後半からの10数年間、中日関係は「政冷経熱」と言われたが、それはまさに、中日の経済貿易関係に存在する相互補完性と互恵性が重要な役割を果たしてきたためだと言える。
マクロ経済の面から見ると、日本には資金面と技術面に優位性がある。一方で、中国側には労働力資源と市場の面に優位性があり、両者は相互補完的な関係にある。中国と日本の経済発展は段階が異なり、産業構造や貿易構造も大きく異なるため、ほとんどの分野で相互補完性がある。近年は一部の分野で競争が発生したが、ほとんどの分野では補完的だ。ミクロの面から見ると、日本は産業チェーンの川上に位置するが、中国は中流域・川下にある。中国の貿易総額に占める中日貿易の比率は、1996年は21%だった。2015年は7%に低下したものの、中国の日本経済への依存度が絶対的に低下したとは断言できない。中日合弁の自動車産業を例にとれば、中国は自動車の国産化比率90%を実現した。しかし要となるエンジンや変速機系統などはほぼ日本製で、この10%の中核部分が欠ければ、完成車の組立はできない。鉄鋼も典型的な例だ。中国は鉄鋼生産大国で、粗鋼の生産量は世界一だが、多くの特殊鋼は日本やその他の先進国から輸入する必要がある。自動車、鉄鋼業以外にも同様の現象が見られることからも、中日双方の多くの分野に相互補完性があり、今後も長期に渡って続いていくとみられる。