米財務省が先日発表したデータによると、8月、中国の米国債保有高は337億ドル減少した。2013年ぶりの大幅減少となる。ただし中国がアメリカにとって最大の債権国であることに変わりはない。8月末までに中国が保有する米国債は1兆1851億ドルで、2012年11月以降の最低を記録した。
厚生シンクタンクの趙亜贇研究員は「証券日報」の取材に対し、米利上げ予想が高まるなかで世界各国の中央銀行が米国債の売却を急いでいる中、中国の中央銀行が同様な動きを採るのも不思議ではないとした上で、独自の原因もあると指摘する。まず資本が流出しているため、中国中央銀行は米ドル資産を売って人民元を買い入れている。米ドル資産の代表格として米国債が売られているのだ。次に、通貨的地位はドルやユーロとは比較にならないとはいえ、特別引出権(SDR)に組み入れられたことから、人民元は外貨準備通貨のひとつになっている。そのため外貨準備戦略の意義はすでに薄れている。第三に、現在の欧州および日本の経済は不況に陥っているとはいえないものの、困難な状態にあることは周知の事実である。つまり実質的マイナス金利を実施しても経済が上向かず、量的緩和政策も効果を発揮していない。この状況において欧州と日本の各企業、特に製造業の業績が悪化しており、中国企業にとってはまたとない買収の好機になっているからである。
中国は8月、米国長期資産の購入と売却を繰り返した結果、長期債券を173.72億ドル減らした。内訳は、米長期国債が191.58億ドル減、機関債が1.1億ドル増、社債が16.94億ドル増、米国株は0.18ドル減だった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月24日