コンサルティング会社KPMGと豪投資会社H2ベンチャーズがこのほど発表した「フィンテックイノベーター2016」によると、世界の金融技術革新企業上位5社のうち、4社が中国企業だった。アリババの「螞蟻金融サービス」が世界一だった。英フィナンシャルタイムズが報じた。
リポートは、中国の金融イノベーション企業が急増するのに伴い、英国は世界のフィンテック(FinTech、金融+情報技術)分野で主導的地位を失う可能性があると指摘した。
KPMGとH2ベンチャーズの年次リポートによると、フィンテックイノベーター企業世界上位5社のうち中国企業が4社を占めたことは、中国のフィンテックの成長が疑いようが無い事実であることを反映している。首位の螞蟻金融サービスは、杭州に本社を置きインターネット決済サービスを提供する中国企業だ。
同リポートは、英国が居場所を失いつつあることを示す。英国企業は昨年トップ100に18社が名を連ねたが、今年は13社にとどまり、トップ10入りしたのはアプリ銀行Atom Bankだけだった。
近年、ロンドンはフィンテックの要地と見なされ、資本、技術の獲得のほか、業界の監督管理の要として重視されてきた。しかしKPMGのフィンテック事業グローバルマネージャーのウォーレン・ミード氏は、中国が「市場のリーダー」となり、フィンテックのグローバル化が進むことは、英国政府と監督管理機関が「努力して地位を維持し続ける必要がある」ことを意味すると述べた。
報道によると、フィンテックによる資金調達は増えるばかりだ。上位50社は去年から146億米ドルの資本を調達し、わずか1年で40%超の成長を実現した。しかし英国のEU離脱国民投票以後、中国との競争激化で、英国の資金調達には不透明感が広がっている。