米国の宇宙輸送会社スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)の回収可能なロケット、米宇宙旅行ビジネス会社ヴァージン・ギャラクティックの宇宙船など……過去1年ほどの間に、世界の商用宇宙航空事業は勢いよく発展してきたといえる。中国最大のキャリアロケットメーカー中国航天科技集団公司第一研究院がこのほど、商用打ち上げサービスを専門に手がけるロケット運行会社・中国長征ロケット有限公司を設立した。これにより中国で長い歴史をもつ「長征」ブランドのロケットが、ビジネス分野に進出することになった。人民網が伝えた。
▽企業は5年で10倍 商用宇宙航空事業が急速に発展
現在、商用宇宙航空事業に対する市場のニーズが拡大を続けている。報道によると、将来は世界の商用衛星打ち上げニーズは1万基を超え、中国の需要も1千基を超える見込みという。宇宙旅行への情熱も高まり、世界の主要宇宙旅行会社数社にはすでに数百人分の予約が入り、数千人からチケット購入の引き合いがあったという。
米スペース財団が発表した「2016年宇宙航空報告」によると、15年の商用宇宙航空産業は世界の宇宙航空経済全体のうち76%の規模を占め、今後さらに拡大する見込みだ。ここ5年ほどで、世界規模で宇宙航空分野の事業を手がける企業が約10倍増加した。ボーイング、衛星インターネット事業を手がけるワンウェブ、スペースXなどはそれぞれ小型衛星の配置計画を発表し、グーグル、フェイスブック、騰訊(テンセント)、アリババ(阿里巴巴)などのインターネット大手も積極的に関わりを模索している。
これまで各国政府が主導し、「高く、大きく、上へ」を合い言葉にしていた宇宙航空産業が、今では「地球に近く、人々に近へ」をモットーに、徐々に消費社会へと駒を進めている。