(2) 現実的な基盤がある
RCEPは地域の一体化発展という時代の要請に応じたものだ。グローバル自由貿易を推進する世界貿易機関(WTO)の交渉が行き詰まり、経済グローバル化の一連のマイナス影響に直面して、当面のグローバル経済の中で勝利を収め、新たな発展を遂げようとするなら、地域経済一体化の強化が必要になる。さまざまな課題に直面しても、ASEANと中日韓3ヶ国との貿易額は急速な増加傾向を維持している。ASEANは中日韓とそれぞれFTAを構築し、オーストラリア、ニュージーランド、インドとも相次いでFTAを構築した。中国はシンガポールと、日本はフィリピンなどとFTAを締結した。中国と韓国もFTAを構築し、中日韓3ヶ国によるFTA交渉も長年にわたって進められてる。2015年にはASEAN経済共同体(AEC)が発足した。こうしたことがすべてRCEPの構築に有利な環境を創出している。
(3) 順序よく徐々に進展している
RCEPはアジア太平洋地域一体化の実際の状況にふさわしいものとなっている。一部の国の間ではゼロ関税が適用され、相互に市場が開放され、密接な協力関係が展開しており、これらに基づいた協力の発展が模索される。これはASEANがRCEP構築を打ち出した際の共通の願いだ。RCEPの物品貿易作業部会はすでに業務をスタートし、サービス貿易部会と投資部会も始動して4年になる。RCEP加盟国間の開放レベルは、現在の6カ国とASEANとの間で締結された5つのFTAよりは高いが、加盟各国の受け入れやすさや実行可能性をできるだけ考慮し、段階を追って過渡的に進めることを考え、TPPのように、登場するや米国が主導して実際とかけ離れた高い開放レベルを求めるのとは異なる。