(3)矛盾の問題が突出していた。今回の中央経済政策会議では直面する4つの突出した矛盾が明確にされた。1つ目は生産能力の過剰と需給構造のバージョンアップとの間の矛盾だ。過剰生産能力を解消すると同時に、供給の効率を向上させ、消費のモデル転換の方向性に合致した中高級商品の供給を増やす必要がある。2つ目は経済の内側にある成長のエネルギーが不足していることだ。今年の経済は全体として安定し、主なエネルギーは不動産とインフラの投資からきていた。この2つは政策の影響を受けやすい。3つ目は金融リスクの集積だ。資産が回転する中で金融機関はレバレッジを拡大し、国民はレバレッジを拡大して不動産を購入したが、流動性が逆の動きをみせると、デレバレッジの圧力に直面することになり、金融システムのリスク・エクスポージャーが上昇した。4つ目は一部地域で困難が増大したことだ。都市と農村の格差、地域間格差が拡大し、地域のバランスのとれた発展戦略を加速的に推進し、的確な貧困扶助の措置を実施することが必要だ。
全体としてみると、経済情勢は安定しつつも懸念を抱いており、これを土台として、中央政府の政策の基調は引き続き安定の中で進歩を求めることにある。今年の中央経済政策会議では「安定の中で進歩を求める」が国家運営と政治の重要な原則、および経済業務をしっかりと進める上での方法論に格上げされた。
戦術面で、17年の経済業務には期待できる5つの注目点がある。
(1)農業の供給側構造改革。農業の供給側構造改革が初めて提起されたのは、15年の農村経済政策会議でのことで、このたびの中央経済政策会議はその業務上の位置づけをさらに引き上げることになった。農業の供給側構造改革を加速させれば、まず、農産品の品質を高め、消費のバージョンアップを受けた需要を満たす上でプラスになる。次に、穀物などの重要農産品の価格形成メカニズムと備蓄制度を積極的かつ安定的に推進し、買い入れ価格が市場決済価格を上回ることで形成される備蓄穀物の高い在庫圧力を緩和することになる。さらに土地制度改革につながり、土地の流通を加速させる。最後に農民の所得増加と豊かさへのルートが増え、貧困扶助の取り組みに適切に対応して打ち出された目標の実現を加速することになる。