2016年に入ってから中国経済の回復傾向が安定せず、国外の不透明要因も重なるなか、中国の金融改革は、資本市場改革、的確な貧困対策、企業のデレバレッジ、不動産市場調整措置などをめぐり、改革のペースが顕著に加速、実体経済の発展を力強くサポートした。
キーワード1:公開市場操作は「短期的流動性を引き締め、長期的流動性を供給」
上半期の金融政策は全体として穏健な基調を維持し、金融システムの流動性は比較的余裕があった。金融市場調節ツールという点からみると、昨年のような「構造的ツール+預金準備率引下げ」を中心とした全面的な預金準備率引下げによる流動性の供給とは異なるものだった。2016年1-6月に、中国人民銀行(中央銀行)は「構造的ツール+レポ取引」を中心に、公開市場操作や中期貸出ファシリティー(MLF)、担保付き補完貸出(PSL)など新たな金融政策ツールを通じて市場に潤沢な流動性を供給した。預金準備率引き下げは、3カ月間の間に50ベーシスポイントの引き下げを1度実施しただけだった。
キーワード2:金融による貧困者支援の精度向上
2016年3月、貧困者支援に向けた金融サービスの的確性と有効性を強化するために、人民銀と国家発展改革委員会(発改委)などが共同で「貧困脱却という難題の解消に向けた金融支援に関する実施意見」を発表。金融機関の主体的役割を充分に発揮し、対象を絞った貧困者支援措置と制度整備などについて金融支援措置を実施することを提起した。