トヨタの豊田章男社長は、「トヨタは現時点では計画を見直す予定はない」と述べ、トランプ氏が就任後に実施する政策は自動車メーカーへの影響が大きいので、今後の動向に注目するとの考えを示した。別の日系大手メーカー日産のカルロス・ゴーン社長も、「(トランプ氏が)大統領に就任する1月20日からどんな新しい政策が出てくるかを注視している」と述べた。
同じくメキシコで自動車を製造するホンダは、生産配置を変更する考えはないとコメントすると同時に、引き続きトランプ氏の政策に注目していくと述べた。マツダは、メキシコは今後も重要な生産拠点であり続けるとしている。
トランプ氏はこれまでに北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを示唆しており、日本の自動車産業は、「トランプ氏が就任して関税が30%も引き上げられるといった極端な状況になれば、メキシコを拠点に米国市場に製品を輸出する製造モデルは成立しなくなり、生産配置の再考を余儀なくされる可能性がある」と懸念を示す。
メキシコは安価な労働力に加え、NAFTAにより北米などへの関税が免除されるといった有利な条件があるため、日系自動車メーカーの重要な海外生産拠点になっており、年間生産量は130万台を超える。こうした状況が変化すれば、日系メーカーの海外経営に大きな影響を与えることは確実だ。