中国の習近平国家主席は今年初の外遊先にスイスを選んだ。素晴らしい願いと、少なからぬ注目点がある。(文:王義桅・同済大学ドイツ研究センター非常勤研究員、中国人民大学EU研究センター長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
第1に、小によって大を推進する。スイスは小さいがとても進んでいる。EU加盟国ではないが、シェンゲン圏に含まれ、欧州単一市場との関係が密接だ。スイスは最も早く新中国と外交関係を樹立した先進国の1つである。中国・スイス協力を通じて中国・欧州協力を推進するとともに、特色ある初の中国・スイス「革新的戦略パートナーシップ」によって中国と先進国との関係の模範を示し、中国と西側との協力の潜在力を掘り起こすことが、習主席のスイス訪問の大きな注目点だ。「中国製造2025」と「スイス工業4.0」の連携は、中国・スイス協力の方向性を指し示すものだ。中国・スイス双方が自由貿易と金融協力の強化・拡大を基礎に、習主席の訪問を通じて再生可能エネルギー、現代エコ農業、省エネ・環境保護、医薬分野の互恵協力を一層拡大することは、中国の革新駆動型発展の推進と職人精神の育成にとって、模範を示す意義がある。
第2に、二国間によって多国間を推進する。スイスは国際機関が林立する国であり、習主席は公式訪問後、国連ジュネーブ本部、WHOとIOCを訪問する。これは中国の指導者が多国間主義を重視していることを十分に示すものである。訪問中、習主席は国連ジュネーブ本部で基調演説を行い、人類運命共同体の理念を全面的に明らかにし、人類の前途と命運に関わる重大な問題について中国の案を示し、人類社会の発展と進歩のために青写真を描くとともに、中国側とWHOによる「一帯一路」(the belt and road)衛生分野協力覚書の調印に立ち会う。「一帯一路」と国連の各事業の全面的連携も重要な一歩を踏み出す。