中国人民銀行(中央銀行)はこのほど発表した「2016年第4四半期中国金融政策執行リポート」で、今年はインフレ防止だけでなく、貸出を厳しく規制し、経済の仮想化、実体経済からの乖離を防止する必要があると指摘した。
人民銀は今回の金融政策について、従来のような「穏健な金融政策」という提起の仕方を改め、「穏健で中立的な金融政策」という表現を初めて採用した。
九州証券グローバルチーフエコノミストの鄧海清氏は、人民銀の「穏健で中立的」という言い方について、「穏健でやや緩和寄り」と言う表現に対比させて表現した可能性が高いとの見方を示した。今回のリポートで書かれた金融政策の現状について、「ある時期の金融政策は実施段階で穏健でやや緩和に偏っていた可能性がある」との記述がある。これは現在の金融政策について、これまでの金融政策との鮮明な対比を打ち出したもので、人民銀の金融政策が転換点を迎えたことを示す。
今回のリポートに「利上げ」という言葉はまだ見当たらない。このため、米FRBの「年内に3度の利上げの可能性」という強気の論調や、人民銀の旧正月前後の中期貸出ファシリティー(MLF)とリバースレポ金利の引き上げを背景に、市場では人民銀が利上げのシグナルを発しているとの観測が広がっている。