しかし人民銀は今回のリポートで、「今回の落札金利の上昇は市場原理に基づく入札の結果」だと指摘。また、「金融政策の目標実現に向け、公開市場操作も相応の取引量と金利の目標を設定し、マクロ調整の需要に応じて目標を調整し、重点を切り換える」としている。
リポートは「今回の金利の上昇は市場原理に基づく結果」とする一方で「金利の上昇はマクロ調整の需要」だとしており、鄧海清氏は矛盾した内容だと指摘する。この前後の矛盾は、人民銀が「金利の上昇」について市場で人民銀主導による「利上げ」と解釈されることを避けたいとの思惑を表しているという。
人民銀は今回のリポートで直接「2016年は中国経済の下押し圧力が軽減し、経済運営は全体として平穏だった」と指摘した。鄧海清氏は、これまでは単に「経済運営は全体として平穏だった」との表現にとどまっていたのに比べると、人民銀の景気下振れへの懸念が徐々に薄らぎ、中国経済が「L字型」の転換点をすでに越えたことを裏付けるとの見方を示した。
人民銀のインフレへの注目度が上がっている。物価情勢から見ると、インフレ観測がやや高まっており、今後の変化に注視すべきだという。今後の消費者物価指数は前四半期比で5ポイント上昇し、3四半期連続で上昇する見込みだという。