これについて、中国経済改革研究基金会国民研究所副所長の王小魯氏は、毎回CPIに代表される経済データが変動するとき、似たような疑問がいつも一緒に出てくると言う。しかし、原因の一部は中国の現行の統計方法にあるのだ。「中国経済の統計方法は国際的に通用している統計規則に基づいて決められたものだ。これらの規則は欧米の先進国の経済構造を基礎にしているため、時に中国特有の経済運営モデルをうまく反映できないことがある。そのため、経済データと中国の庶民の感覚のずれが起こったのだ」
王氏はCPIを例に挙げて、食品は中国のCPIにおける比重が3分の1に達するが、経済の発展に伴って、中国人はとっくに「食をもって天となす」という時代に別れを告げたと指摘する。しかし、人々の生活でますます重要になっている住宅は、CPIの統計に反映させることができない。「国際的な統計の慣例によると、不動産価格は一般的にCPI統計の項目に含まれない。世界の経済学界はおしなべて、住宅購入を一種の投資行為と見なし、消費行為とはしてないからだ」
王氏は同時に、不動産価格がCPIに反映されないのは、政府が不動産価格の統計を取らないという意味ではなく、別の統計項目として示していることを強調している。
国勢調査の難しさ
統計方法のほか、多くの経済学者が統計の基礎となる全国国勢調査にも言及している。毎年、中国は大量の人や資金、物資を動員して、各種の国勢調査を展開する。その中には、全国経済国勢調査も含まれる。14年末、中国は最新の経済の国勢調査を終了したが、13億の人口を有する中国では、この調査に2年以上の時間を費やし、100万人に上る調査員を動員した。
「中国は大量の社会の力を動員して経済の国勢調査を展開したが、国土面積が広く、人口の流動が頻繁などの原因によって、統計作業は非常な困難に直面している。そしてこれも直接、最後の経済データに影響している」。中国国務院発展研究センターの経済学者、張立群氏はこのように述べた。
張氏は「雇用者数」という一つのデータを例に挙げた。国勢調査は理論的には一軒一軒行うものだが、一部の農民工(出稼ぎ労働者)は正式な住所がなく、彼らは往々にして出稼ぎ先のレストランや倉庫に住んでいるため、調査の際、取り残される可能性がある。さらに、農民工は流動性が比較的高いため、もし本人を探し出すことができなければ、その人が常住人口なのかどうかはっきりさせることはとても難しい。これらの状況が全て統計データの質に影響を与える。