東京経済大学の周牧之教授は、「日本の製造業に問題が起きている主な原因は、グローバル化するビジネススタイルへの対応が遅れ、急速なグローバル化の進展において二の足を踏んでいるため」と指摘する。
日本の企業は比較的封鎖されたサプライチェーン構築をずっと目指してきた。商品の開発から、原材料や部品の供給、組み立て、販売まで、長期にわたって同じ得意先と提携することで、効率の良いサプライチェーンを築くというのが、日本の製造業のメリットであったものの、それが日本の企業のグローバル化にとっては足かせとなってしまった。
向上に向上を重ねて「第六次産業」が形成
日本の製造業に存在する問題について、中国の杏林大学の劉迪教授は、「日本は第二次世界大戦後、国外の生産スタイルを採用し、1980年代にピークに達した。そして、90年代に入り、人件費や市場などの面で優位性がなくなり、そのスタイルは衰退した。しかし、日本は製造業の分野でその主導権を完全には失っていない。日本の企業の海外における産出量は日本本土の規模と同じだ」と指摘する。
また、「日本本土で主導的な立場の産業は、地域化や小型化、ブランド化、専門化、サービス化などの発展へと移行している。例えば、多くの地方の中小企業は、依然として品質の高い小型器具を生産しており、高齢化社会向けに的を絞った商品をたくさん打ち出している企業も多い。また、医療と製造業を結び合わせ、精密診療機器をたくさん生産している。日本の製造業は工業社会からポスト工業社会への移行を成功させた」のだ。