全方位へ対外開放、習近平国家主席の構想を読み解く
(文=中国商務部国際貿易経済協力研究院院長 顧学明)
中国の習近平国家主席は3月5日、両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)上海代表団の審議に参加した際、中国の開放という大きな扉が閉じられることはなく、全方位の対外開放を貫き、貿易と投資の自由化・円滑化を引き続き進めると話した。この重要な講演はすぐに大きな反響を引き起こした。中国が開放を進める方向性を示すと同時に、経済グローバル化の上空を覆うもやを払い除け、中国が開放を通じて経済グローバル化を新時代に導く努力をしていることを明らかにした。
中国は開放を通じて経済グローバル化の進展に大きな貢献を果たしている。改革開放の実施以降、中国は対外開放の基本方針を堅持し、自由貿易を進めることで開放、透明、包括、無差別の多方面貿易システムの支援や、ウインウインのグローバルバリューチェーンの構築、世界的な大市場の育成を図り、世界経済、貿易、投資への貢献度が拡大して経済グローバル化の重要なエンジンとなった。2016年の世界経済成長に対する中国の貢献率は30%を超えた。中国は数年続けて世界第1位の貨物貿易国の座を維持し、120余りの国・地域にとって最大の貿易相手国となっている。1982-2015年にわたる中国の対外直接投資の年平均増加率は28.83%に達し、世界の外国直接投資の約3倍だった。中国の対外開放は、世界各国に大きな市場や大量の資本、豊富な製品、貴重な提携チャンスをもたらし、グローバル貿易と投資の発展の原動力となっている。
習近平国家主席は、「世界経済が直面する根本的な問題は、成長の原動力が不足していることだ。イノベーションが成長を導く最大のエンジンになる」「我々はイノベーションのなかで進路を探し、イノベーションや変革に勇気をもって取り組むだけで、世界経済の成長と発展のボトルネックを乗り越えることができるだろう」と話した。つまり、経済グローバル化の原動力と進路はイノベーションにあり、開放を通じてイノベーションを進め、イノベーションのなかで成長エネルギーを探せば、経済グローバル化にさらに活力を与えられる。