英国のEU離脱(ブレグジット)も現実化、今月29日にはEU側へ離脱を正式に通知し、交渉プロセスを開始する。ポピュリズムが台頭する欧州は、今年は「選挙年」に当たり、EU離脱の動きが広がり、EU全体に動揺が及ぶことが懸念される。昨年の英国のEU離脱の是非を問う国民投票が 「ブラックスワン」だったとすれば、今年の欧州選挙年は「ブラックスワンが一斉に飛び立つ」ような混乱を招く恐れがある。
西側諸国は脱グローバル化の台頭という苦境に陥り、欧米の既存の制度はポピュリズムのもとで大きく揺らいでいる。
旧秩序内のパワーがグローバル化のマイナス要因であれば、米国の経済回復は世界の新たな景気循環の原動力にはならず、却ってより一層、保護貿易主義の混乱を引き起こしかねない。世界貿易機関(WTO)の統計によると、2015年10月中旬~2016年5月中旬、主要20カ国・地域(G20)諸国が導入した新たな貿易制限措置はひと月あたり21項目に上った。
世界には新たな秩序づくりが求められており、時流に適したグローバル化が必要だが、その使命を担うものこそ中国ではなかろうか。アジアインフラ投資銀行(AIIB)から「一帯一路」戦略、さらに人民元の国際化に至るまで、中国は世界一の貿易大国および世界第2位の経済大国として、世界経済成長へ30%の寄与を果たしている。