「一帯一路」を進む企業家、李健煒の物語

「一帯一路」を進む企業家、李健煒の物語。

タグ: 一帯一路

発信時間: 2017-05-09 16:11:08 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文:江宛棣

世界中がシリアの戦争と困難な和平のプロセスに注目する時、かつては裕福で繁栄したこの国の今では見渡す限り破壊された都市で、ビジネス活動が出来るのか否か?それをどのように行うのか?を問う人は少なくない。この答えは、中国の若い商人、李健煒の物語が明らかにしてくれるだろう。長年にわたって中東諸国と商売を行い、アラビア語と英語を流暢に話す李健煒(Yasin Li)は今、世界に名が知れ渡るアレッポオリーブ石鹸をひっきりなしに中国へ輸入し、ここ数年で中国消費市場の新たな人気商品とした。

ユーフラテス川と地中海の間に位置するシリア第二の大都市アレッポは、古代から工業と商業の発達で知られ、オスマン帝国時代には近東最大の貿易センターだった。現地に数多くある工業・農業製品のうち手作りオリーブ石鹸は、その原料と精緻な生産プロセスが海外でも有名だ。長期にわたって中東諸国と商売を行う李健煒だが、彼は偶然にアレッポ石鹸を輸入して中国市場を独占する考えを思いついた。

李健煒は「私もここ2年にアレッポ手作りオリーブ石鹸の商売を始めたばかり。以前はこの石鹸を知らなかったけれど、中東諸国を頻繁に訪れるうちに購入して使用したり、現地の友人がプレゼントしてくれた。この石鹸は純天然で、化学添加剤が無く、香料や着色料も使っていない。洗った後の皮膚の感覚は特に気持ち良く、潤いがある。これは私自身が感じたことだ」と話す。

果たして、オリーブ石鹸を生産していない中国で、この特殊な石鹸の市場はあるのだろうか?この点について李健煒は自信を持っている。まず、中国では現在、日用化粧品消費市場が非常に強く、さまざまな種類と価格の製品はどれも大きな需要がある。また、天然で品質が保証された製品が求められていることも現在のトレンドとなっている。輸入の手作りオリーブオイル石鹸は、価格が少し高いが、化学合成の入浴用品と比べ健康生活の理念に合い、生活の質を求める若年世代に受け入れられやすい製品だ。中国の消費者はここ数年の間に、オリーブ石鹸を徐々に認識して受け入れており、一部の人は収蔵期間が長いオリーブ石鹸に熱中している。李健煒が「アル=アンダルス・アレッポ古石鹸」としてオンライン販売する製品は、すでに人気ブランドとなった。彼は最近、ウォルマートと商談し、オリーブ石鹸をスーパーマーケットに陳列する準備をしている。

李健煒は、巨大な消費市場を前にして、粗悪品や偽物のアレッポオリーブ石鹸が出てきたことに気付いた。彼は、「私のオフィスには、たくさんの偽物や粗悪品の石鹸が置いてある。こうしたサンプルを集めることで、消費者に分かってもらいたい」と話す。彼が良く訪れる中東諸国の市場では、どこでもオリーブ石鹸を探すことが出来るが、彼は、シリア産のオリーブ石鹸のみを輸入し、二次加工製品を買ったことはないという。現在契約している代理業者は、歴史あるシリアの手作りオリーブ石鹸メーカーと直接契約をしており、毎年このメーカーから100万元相当の製品を輸入する。

李健煒に商品を供給するこのメーカーは、大規模な家族企業で、前世紀50年代から手作りオリーブ石鹸の生産を開始。すでに2世代を経て、製品をドイツなどの欧州諸国に直接販売している。シリア戦争前、工場では自社の従業員と職人のほか、オリーブの収穫期に臨時作業員を雇わなければ大量の受注に対応することが出来なかった。都市が破壊された現在は、かつての熱気にあふれる光景は見られない。戦争前は、アレッポだけで大小のオリーブ石鹸メーカーが1000社に上ったが、今ではほとんどが逃げ出してしまった。多くの工場は80kmちょっと離れたタルトゥースへ移転。李健煒は、工場の損失は火を見るより明らかだと話す。アレッポの工場を離れるとき、多くの伝統的な手製の金型は持ちだすことが出来ず、現在の工程ではロボットが代替している。

それでも、戦火が舞うなか、李健煒の注文が遅れたことはない。「私の製品はすべてコンテナで運んでおり、シリアのラタキア港を決まったダイヤで出港し、だいたい28-35日で中国の天津港に到着する。製品輸送は、とても正常で、戦争の影響を受けていない」。

非常に面白いのは、李健煒は商売をする時、彼が得たものを皆と喜んで共有することだ。「私が打つ広告はアレッポ古石鹸のほか、年代物石鹸となる5年物や7年物の広告もある。オリーブ石鹸はやはり年代物が最も好まれるためだ。フランス人は大口購入を好み、購入した石鹸を自宅の地下室に置いて、なかには10年以上も置きっ放しにするものもある」。李健煒は、彼自身がアレッポ全体でもわずかに残る7年物の石鹸3000個を収集したことを明らかにした。「この年代物石鹸を売ることはない。友人と交流するときに見せたり、プロモーション活動の時に持っていくものだ」。

また、李健煒は、天津市にアレッポ古石鹸博物館を建設することを思い描いている。「情勢が少し落ち着いたら、年代物石鹸メーカーの生産道具などの素材を探しに行くつもりだ。これを生産することは、現地人にとって一つの歴史であるが、現在は工場がすべて破壊されてなくなった。自分の博物館で、こうした生産要素とそこに含まれる文化を保存、再展示したい」と話した。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年5月9日

 

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