だが人類の自覚と物品のコストパフォーマンスだけでシェアリングエコノミーの成功拡大を説明することはできない。実際、配車サービスのウーバーを通じて見知らぬ人の車に乗るようになり、エアビーアンドビーで初対面の人の家に泊まるようになると、かつてのような情報不足による他人への恐れといった感覚が目立って薄れていった。「人々がリスクを引き受けるつもりで新しい事を試そうとしたり古いやり方を変えようとしたりする」時、「信頼感の飛躍」が起こり、ネット通販からシェアリングエコノミーまで、人々は信頼感の「ホップ・ステップ・ジャンプ」を達成することになる。
英国生まれの作家レイチェル・ボッツマン氏は著作「シェア-<共有>からビジネスを生み出す新戦略」の中で、「人類社会の信頼感の発展は3つの段階を経ている。小さい範囲での信頼感、機関に対する信頼感、今起きている分布式の信頼感だ」と記した。
わかりやすくいうと、原始社会の集落やその後に生まれた村落では、人々が相互に抱く信頼感は小さい範囲のもので、よく知った人同士がこれまでの交流経験から相手を信頼できるかどうかを判断していた。都市化が一層発展すると、人々はお金を大手銀行に預け入れ、大規模チェーン店で買い物し、権威あるメディアが発行する新聞を買うようになり、いずれも評判が高くこれまでに問題がなかった機関を信頼する行為といえる。インターネット時代の訪れにより、信頼感は上から下に向かうものではなくなり、不透明で一時的なものではなくなった。「脱中間」と「双方向性」が、信用を基礎として発展を続ける信頼感モデルの目立った特徴となっている。