また近年、日本の対中投資は下降傾向を示しているが、中国における業務拡大の流れは徐々に回復しつつあると見られている。
田端副会長は、日本の対中投資と在中国の日本企業の事業拡大の傾向には非常に強い結びつきがあるとの見方を示した。
白書に収録された日本貿易振興機構(JETRO)が日系企業に対して行った今後の中国における事業拡大方向に関する調査結果によると、「拡大する」と回答した企業は2011年から下降し始めたが、2016年には「拡大する」と回答した企業が40.1%と再びやや上昇傾向を示した。2011年のピーク時と比較するとまだまだ差があるものの、前年の2015年と比べると2ポイント増となった。
田端副会長は、「日本からの対中投資は2016年が底打ちとなり、今後は上向きに向かう傾向にあると見ている」とした。
実際、今月9日に中国社会科学院日本研究所と社会科学文献出版社が共同で発表した「日本経済青書:日本経済と中日経済貿易の関係研究報告(2017)」でもその傾向が論じられている。報告では、日中の経済関係は近年、貿易と投資が共に減少するという状態が続いており、日系企業の中国事業を拡大したいという意欲も低くなっているが、最近、中国経済がニューノーマルへ移行している過程で、底打ちしたことを示す材料も明らかに増えている。両国の貿易関係は依然として、互いに依存し合う関係を保っており、日系企業の中国における事業拡大も同様だ。中国市場を開拓するための投資の意欲は低くなっていないため、日系企業は現在、事業環境が変化しているのを背景に、新しい市場の拡大を模索する段階に入っているといえる。