タカタは6月27日に東京で、最後の株主総会を開いた。株主190人が出席。中国の寧波市にある均勝電子傘下の米自動車部品大手、キー・セイフティー・システムズがスポンサーとなり、タカタのエアバッグ生産・販売事業を引き継ぐことになった。しかし株主総会に出席した株主とは何ら関連性がなくなり、日本市場で発行されたタカタ株が紙くずになる。
経営破綻したタカタの負債総額は1兆円で、日本製造メーカーにとって最大の規模となった。
同族経営の企業の特徴として、事故の分析と対応が遅れやすい。これによりタカタが最終的に経営破綻することになった。
日本の某自動車メーカーの取締役は「問題は最近になってのことではない。タカタは優柔不断すぎる」と話した。
タカタ製エアバッグは2004年5月の時点で問題が発覚していた。自動車の衝突時にエアバッグは火薬の爆発によって開かれるが、その際に金属片が運転手もしくは同乗者を傷つける可能性がある。なぜそうなるかについて、タカタはまだ説明していない。
筆者が以前会ったタカタの関係者は「全世界のエアバッグ5個中、1個はうちが生産したものだ」と誇らしげに語った。
当時、筆者のエアバッグへの理解は浅かった。帰宅後にタカタの概況を調べると、同社が東証一部上場企業だが、創業者が最大の株主であり、自社株6割以上を保有していることが分かった。当時は「実に大きな個人事業主」という印象を受けた。
2004年から数年に渡り、タカタにほんの少しの責任感があれば、あるいはより長期的な計画に基づき関連問題を処理していたならば、状況は現在よりも良かっただろう。
中国企業が引き継ぎ
タカタは均勝電子傘下に入ることで生産と販売を続けるが、「タカタ」ブランドを使うことはなくなるだろう。一世を風靡したタカタは、十数年に渡り関連問題の処理を先延ばしし、小さな問題を大事にし、企業の80年以上の歴史に終止符を打った。
苦境に陥る日本企業、中国企業が台頭
一部の重要な日本企業に近年、深刻な経営問題が生じている。数年前に日立、パナソニック、シャープが巨額の赤字を計上しており、東芝は過去最大の経営問題を迎えた。これにより東芝は再起の機会を完全に失うかもしれない。
シートベルトとエアバッグの生産に特化したタカタの失敗は、グローバル化を迎えた日本企業が同族経営により国際市場に対応しようとした結果だ。これが成功するわけがない。
グローバル企業にはグローバル企業としての制度が必要だ。この制度がなければ、数億もの製品のリコールは同族企業が対応できるリスクではない。自動車メーカーが全力で支援しても、危機を乗り越えることはできない。
それでは日本企業の失敗、誤算、制度面の不備は、中国企業に大きなチャンスをもたらすだろうか。
表面的には、中国企業の子会社がタカタのすべての製造・研究開発能力を手にしたように見える。主に中国大陸での生産により利益を維持していた台湾の鴻海精密工業は、日本有名テレビメーカーであるシャープのブランドと生産・研究開発技術を獲得した。台湾企業を含む中国企業は今後、大きな利益を手にすることができる。しかし中国企業が世界の製造業を主導する期間はまだ短く、今後多くの問題が生じるはずだ。
我々は少なくとも東芝、タカタ、シャープの二の舞いにならないよう、教訓を汲み取り続ける必要がある。
(筆者:陳言 日本企業(中国)研究院執行院長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年7月11日