トランプ米大統領は14日、中国の技術移転など知的財産権分野での慣行を含む「中国の貿易制度」について、米通商代表部(USTR)に調査開始を指示する覚書に署名した。アナリストによると、米国は中国に対する「通商法301条」の適用を視野に入れており、米国が中米の貿易関係に一方的に圧力をかける行為を憂慮する声が上がっている。
アナリストは、米国が中国に対して「通商法301条」の調査を開始することが注目されている理由について、「通商法301条」は米国による独善的、単独行動主義的な色彩が濃厚なため、中国の貿易制度は「不公平」「不合理」と見なされ、関税引き上げや輸入制限など一方的な制裁措置を科される可能性があるためだ、と分析した。
「通商法301条」調査のほかにも、米国は中国に対して類似の調査を開始した。米商務省は現在、鉄鋼やアルミ製品の輸入が国家安全保障の脅威になり得るとみて「通商拡大法232条(国防条項)」に関する調査を進めている。また、米国際貿易委員会 (ITC) は 「通商法201条(セーフガード規定)」に基づき、太陽電池・モジュールの緊急輸入制限措置に関する調査を行っている。
アナリストは、「米国が開始した調査の内容はそれぞれ異なるが、単独行動主義的な色彩が強く、共通点は明らかだ」と指摘する。いずれの条項も冷戦時代に生まれ、世界貿易機関(WTO)発足後は制裁措置の発動事例がほとんどないものばかりだ。米国政府がこれらの埃に埋もれた古い法律を大々的に復活させて経済貿易問題を処理するやり方に懸念の声が高まっているという。
ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のErik Schweitzer会長は、「中米貿易戦争が勃発すれば、多くのマイナスをもたらし、ドイツ経済もネガティブな影響を受ける」とみている。
米国経済界からも、トランプ政権に対して慎重な行動を求める声が上がっている。米国政府がWTOの規則を顧みず、単独主義的な行動で貿易相手国との紛争を解決しようとするなら、問題解決につながらないばかりか、自国の消費者や輸出入企業の利益も損なうことになる。
豪シンクタンク・ロイ国際政策研究所のMichael Fullilove主任は、中国の貿易制度に対する米政府の調査には厳正に対処する必要があると指摘する。中米貿易戦争が発生すれば、オーストラリアはエネルギーや農産物の貿易で利益を脅かされることになるとしている。
米ピーターソン国際経済研究所は、中米貿易戦争が勃発した場合、中国が持っている武器の重要性が高まると指摘する。中国が米国製の航空機と大豆の輸入を制限するだけでも「破壊的な」影響をもたらす。今年6月時点で、中国は米国にとって第2の貿易相手国、第3の輸出市場、第1の輸入元で、米国が輸出するボーイング機の26%、大豆の56%、自動車の16%、IC(集積回路)の15%が中国に輸入されている。
中国商務部の報道官は、「米国が事実を顧みず、多国間貿易の規則を尊重せずに双方の貿易関係を損なう行動に出た場合、中国は座視するわけにはいかない。あらゆる措置を実行し、断固として中国側の合法的な権益を守る」と述べた。
「中米の経済貿易関係は中米関係の緩衝材であり、推進装置でもある。和すれば則ち共に栄え、争えば共に傷つく」。中国商務部の責任者は16日、「互恵協力こそが中米経済貿易の唯一の正しい活路だ」と指摘。「双方は協力を強化し、見解の相違をコントロール、両国の経済貿易関係の健全で持続的な発展を実現し、世界の経済成長促進に向け力強い原動力を提供すべき」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月18日