人民日報海外版コラム「望海楼」は18日、中国人民大学重陽金融研究院の院長を兼務する王文教授の寄稿記事、「BRICS体制、より輝かしい未来に」を掲載した。
「BRICS5カ国 (ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は歴史や文化、経済成長、社会、伝統といった面で若干の違いこそあれ、いずれも新興経済国であり、それぞれに長所がある。世界が抱える様々な課題に関心を持ち、相互に学び合い、助け合えば、各国ともに発展し、より多くの恩恵に与れるであろう」――数月前に開かれたBRICSシンクタンク・シンポジウムの席で筆者はこう述べた。
この席でBRICSの識者らは、「見方をかえれば、BRICS体制が持つ魅力やポテンシャルはさらに高まる」、「BRICS体制と主要7カ国(G7)体制を比べると、BRICSのほうがより輝かしい未来があることがわかる」との認識を示した。
G7の参加国は北大西洋を挟んだ両岸の国はほとんどであり、世界を代表しているとはいえない。新興経済国の求めるものを理解しないばかりか、グローバル・ガバナンスに対する貢献度も下がりつつあるのが現状だ。
一方、2016年の世界経済に占めるBRICSの割合は30%超、貢献度は60%に迫るなど、いずれもG7を大きく引き離している。BRICSは、欧米の先進国が1カ国も参加しない多国間協力機構として、これまでグローバル・ガバナンスのプラットフォーム上でほとんど発言してこなかった発展途上国を、周辺から中心にシフトさせつつあるのだ。
中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカを代表とするBRICSは、自主独立路線を堅持し、他国の内政に干渉しないことを原則に、平和と発展を模索している。国連を中心とする体制と機能が引き続くことを支持し、より適正かつ公平な国際経済・政治の新たな秩序づくりを呼びかけている。
世界の歴史からみて、BRICS全体の発展は欧米の発展とは異なる新たな理念を持って新たな道を歩んでおり、このこと自体が人類の発展に極めて大きく貢献しているといえよう。
BRICS外相会議は2006年の初開催から10年しか経っていないが、ゼロからスタートして大きく拡大し、今やグローバル・ガバナンスの主要な担い手になるまでになった。BRICS関連の会議は年間100件以上も開かれている。
2009年にロシアのエカテリンブルクで初のBRICS首脳会議が開かれ、共同声明が発表された。声明文はわずか15条、中国語訳にして約1500字という短さであった。2016年にインド南西部のゴアでひらかれた首脳会議の時は109条、中国語訳にして1万3000字近くに増加した。
欧米メディアはこのところ、BRICSの勢いに陰りがみえると報じたり、軋轢を生じさせたりするような報道ばかり行っている。だが、こうした報道はBRICSの実情を把握していないことを示すものだ。
特にここ数年、BRICS諸国の間で緊急時の外貨準備基金として「新開発銀行」を設立したり、実務協力の展開を検討したりするなどしており、国際的に開かれた新たな金融システムとマクロ調整システムが構築されつつある。グローバル化の新モデルが萌芽しつつあるのだ。
今年9月に9回目となるBRICS首脳会議が中国福建省のアモイ市で開催されるが、2度目の10カ年計画を決める重要な会議となる。この会議で、BRICS5カ国と他の新興諸国がともに「求同存異」(互いの共通点を追求しつつ、相違を認めあう)し、共同の利益を追求することを信じる。
文化や考え方の違いを認め合い、実務協力を通じて、世界経済の発展に向けて一層貢献し、BRICSにより輝かしい未来が開けることを願う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月18日