中国経済体制改革研究会副会長、中国改革研究基金会理事長、国民経済研究所所長、中国(深セン)総合開発研究院院長の樊綱氏は先ほどの講演で、「中国の消費水準が低すぎるというのは、所得水準が低いというのではなく、消費が所得に占める割合が低めであり、未来の潜在力が高いということだ」と述べた。講演の要旨は下記の通り。
消費水準が低めとなっている一因は、高すぎる貯蓄率だ。中国は近年調整に取り組み、貯蓄の比率を下げ消費の比率を上げ、国民による消費を拡大している。しかしながら現在も、国民の貯蓄率が高めとなっている。
これにより一連の問題が生じる。そのうちの一つが、今や人々が頻繁に口にする、「中国人はなぜお金が余っているのか」という問題だ。
紙幣が多く、発行しすぎとよく言われている。当然ながらその問題もあるが、これらのお金は誰の手に握られているのだろうか。いずれも人々の所得で、銀行の口座に預金されている。中国は国民だけではなく、企業も政府も貯蓄している。企業の貯蓄とは通常、内部留保だ。利益が多くても、分配しない場合がある。投資先が見つからないのは、紙幣が多いからではなく、手元のお金が多いからだという声が頻繁に聞かれる。
中国は近年、投資の調整を行っている。多くの企業が海外進出し、新たな投資チャンスを目にしている。政府も海外進出を開始している。しかしこの状況下、我々の消費は実際には抑制されている。この問題を解消するためには、消費成長の原動力、消費成長を左右する要素に注目しなければならない。
まずはやはり所得増だ。お金がなければ消費できず、これが最も基本的なことだ。高消費国は必ず高所得国だ。
低所得層の所得を拡大できれば、消費成長率がさらに上がる。低所得層の消費は、フットワークが軽いからだ。お金を稼いでもすべて使ってしまい、子供の教育がまだ保証されていないという状況のため、所得が増えれば消費も増えることが多い。
次に、十分な社会保障が必要だ。健全な社会保障は消費支出を促す。後顧の憂いが少なくなれば、未来のための貯蓄が少なくなり、現在の消費が拡大する。これは中国が近年、社会保障体制の改革を重視している理由だ。
さらに消費者金融の発展において、インターネットが大きな力を発揮する。中国の消費者金融サービスが遅れていると考えてはならない。インターネット、P2P、オンライン金融が出てきてから、消費者金融が大々的に発展した。まずは住宅ローンで、次にネット上の短期・少額貸付だ。
最後に、電子商取引(EC)の発展がある。宅配トラックに積まれているのは、どれも中国製の消費財だ。過疎地の町や農村でも、大都市でしか買えなかった多くの商品が買えるようになった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年9月6日