2016年末に中国の60歳以上の高齢者人口は2.4億人弱となった。予測によると、2050年には4.8億人に膨らみ、世界の高齢者人口の4分の1を占めるという。つまり世界の高齢者の4人に1人が中国人となるのだ。
8月27日に発表された「中国都市養老指数白書2017」は、「その意味で中国は、世界で最も人口が多い国になるだけでなく、最も高齢者人口が多い国になる。全人口における高齢者の割合は各地域でますます高まっており、中国はすでに高齢化社会に突入している」と指摘する。
高齢化がもたらす問題について同白書は、「中国の年金支出は毎年増加しており、年平均増加率は22.84%である。年金の支出は収入をはるかに上回るだけでなく、支出の増加率も収入の増加率をはるかに上回る。この傾向はまちがいなく、国家財政に高いリスクをもたらす。医療保障制度でも、高齢者が消費する医療衛生費用は一般の人々の3~5倍に達する」と指摘する。
民生部政策研究センターの劉更光副主任は、「世界人口の傾向からみれば、人口高齢化は21世紀の世界像を塗り替えるものだ。中国の高齢化が現在、きわめて厳しいことは共通認識となっている。高齢者人口の増加の速さ、規模の大きさ、認知症となる高齢者の増加の速さなどが表面化しており、その結果、社会負担が重くなり、農村部での高齢者問題が目立ち、高齢者を介護できない家庭や独居老人が増えるといった問題も急増している。工業化や都市化、市場化の進展が進むにしたがい、家庭による保障機能は弱まり続けており、高齢化は経済社会に深刻な影響をもたらしつつある」と述べる。