日中経済協会調査部長
高見澤学
中国共産党第18回全国代表大会以来、中国は一連の措置と方案を打ち出し、グローバル化の進展と新たな経済秩序の構築のために努力し、グローバルガバナンスの改善を大きく促してきた。
◆ 「一帯一路」構想
最近の中国のグローバル化構想の柱は、何といっても「一帯一路」構想である。第13次五カ年計画(以下「13・5計画」)では、「一帯一路」建設を京津冀(北京、天津、河北)協同発展や長江経済ベルト発展と共に、地域協調発展のリード役「三大地域発展戦略」として位置付けている。「一帯一路」構想は、2013年に中国政府が公表したもので、ユーラシア大陸を中心とする65カ国以上との間でインフラ開発を中心とする連携強化や貿易・投資の促進を図るための一大構想である。13・5計画では、全方位開放の新たな枠組みを構築するものとし、「一帯一路」建設を進める一方、グローバル経済ガバナンスへの積極的参与や国際的責任と義務の積極的な受入を行うなど、国際ルールに則ったグローバル化への道を歩もうとする意志が感じられる。
今年(2017年)5月、中国政府は「一帯一路」沿線国をはじめとする関係各国の指導者を北京に招き、「一帯一路国際協力フォーラム」を開催して、「一帯一路」構想の数値目標を含めた具体的なアクションプランを示しつつ、同構想への参加を促す盛大なアピールを行った。その結果として、予想以上に広範な諸国から評価が得られ、多くの発展途上国からも期待が寄せられた。
◆ 高まる国際舞台でのプレゼンス
近年、中国は更なるグローバル化を見据えた大きな国際会議を主催している。2014年11月には北京でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を、昨年9月には浙江省杭州市でG20サミット会合を、そして今年9月には福建省厦門市で第9回BRICS首脳会議をそれぞれ開催するなど、国際舞台でのプレゼンスを高める動きを見せている。
これまでグローバル化を主体的に進めてきた欧米諸国が、一部でその流れに逆行し、保護貿易主義の台頭が見られる中、経済力を強めてきた中国が、新興国或いは発展途上国の立場から、新たな経済秩序を構築していこうとする強い意志が感じられる。こうした世界的な大きな変化の中で、新規市場の開拓や国際的な産業協力の拡大を進めるには、日中協働で新たな流れを創り出すことを検討してもよいのではないだろうか。
(本稿は筆者個人の意見であり、中国網や所属機関を代表するものではありません。)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年9月11日