中国人民銀行(中央銀行)は先ほど、差別的な預金準備率引き下げ政策の対象範囲を、金融包摂分野への貸付金が一定基準に達する金融機関まで統一的に拡大することを決定した。これについては、中国の金融政策の緩和への転向を意味するという観点もある。しかしながら大多数の業界関係者は今回の同政策の根本的な目的について、信用貸付構造のさらなる改善により、金融機関が実体経済により良く貢献することを奨励し、中国経済のモデルチェンジとアップグレードを促すためと判断している。そのため同政策そのものは、いわゆる「緩和のシグナル」を出していない。
中央銀行の最新の政策によると、前年の金融包摂分野の貸付残高もしくは増加分の占める割合が1.5%に達する商業銀行については、預金準備率を0.5%引き下げる。前年のこの割合が10%に達する商業銀行は1.5%引き下げ。うち金融包摂分野には、1社当たり与信限度額が500万元未満の零細企業、個人事業主経営性貸付、農家生産経営貸付、教育支援貸付などが含まれる。
多くの機関は、「今回の預金準備率引き下げにより、1兆元弱の資金が注入される」という観点に賛同していない。国金証券は、その主な目的は流動性の供給ではなく、信用貸付構造を改善し、商業銀行の金融包摂貸付を奨励することにあると判断した。具体的に見ると、差別的な預金準備率引き下げにより流動性の供給が拡大するが、中央銀行はその他のルートにより資金を回収し、流動性の全体的な安定を維持できる。