劉軍紅:日本の製造業は「堕落」したか

劉軍紅:日本の製造業は「堕落」したか。100年の歴史を持つ日本第三の鉄鋼メーカー「神戸製鋼所」が製品データの改ざんを認めた問題は、航空や自動車などの200社以上の中下流企業へと波及している。事件の影響は大きく、日本メディアは、「メイド・イン・ジャパンを揺るがす神戸ショック」と形容している…

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発信時間:2017-10-15 13:25:40 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 100年の歴史を持つ日本第三の鉄鋼メーカー「神戸製鋼所」が製品データの改ざんを認めた問題は、航空や自動車などの200社以上の中下流企業へと波及している。事件の影響は大きく、日本メディアは、「メイド・イン・ジャパンを揺るがす神戸ショック」と形容している。世界の製造業大国の地位を堅持する日本だが、これまでもスキャンダルは少なくなく、タカタの欠陥エアバッグとそのリコールの問題は現在も進行中で、東芝や三菱自動車などの大手企業もデータ改ざんや粉飾決済などが問題となっている。

 

 品質や安全性、性能で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれた日本の製造業とその代表企業は、なぜここまで「堕落」してしまったのだろうか。

 

 過去を振り返ると、日本メーカーの「劣化」は、冷戦終結後の内外環境の巨大な変化と直接に関係している。ベルリンの壁崩壊を境目に、「1枚の壁、2つの陣営、3つの世界」という冷戦期の体制は突然変化し、これまではっきりと分かれていた2大市場がつながり、市場経済は世界に広がり、企業活動は真の「グローバル競争」を迎えた。欧米はもはや「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を容認することはなくなり、「日本モデル」は「資本主義の変種」だと考えられるようになった。米国と日本の間で存在したミクロレベルでの経済貿易摩擦は、マクロレベルの体制の衝突と化した。とりわけ欧米がほとんど同時に地理的な経済圏、すなわち北米自由貿易協定(NAFTA)と欧州連合(EU)を形成し、世界経済を欧米主導の体制へと推進すると、日本は排除されることとなった。日本企業は、欧米企業との不平等な関税と非関税障壁に直面せざるを得なくなった。「日本のコスト」の上昇で、競争力は低下した。

 

 同時にグローバル化のうねりの下、新興エコノミーは急速に改革と成長を実現し、先進国の資本や技術を利用して新たな製造業の体系を構築し、グローバルな比較優位を形成し、新たな競争の極となった。日本の製造業はその結果、サンドイッチのように両側から挟まれるようになった。

 

 国内の状況を見ると、戦後の「ベビーブーム」で形成された「団塊の世代」と呼ばれる労働者は21世紀になって続々と還暦に達しつつある。日本の労働人口は絶対的な減少に入り、革新の鈍化や財政の悪化により、日本企業の潜在生産性は低下を続け、日本経済の潜在成長率はゼロに近付いた。日本のメーカーのターゲットは世界市場でのシェア獲得から資本収益率に変わり、コスト競争や収益競争が日本企業の新たな目標となった。

 

 第2次安倍政権が発足すると、日本企業は「アベノミクス」のもたらした円安を利用して利潤をふくらませ、海外投資の収益を「内部留保」としてた積み上げた。日本財務省の統計によると、上場企業の課税されない「内部留保」は400兆円(約4兆ドル)に達し、投資にも賃金アップにも用いられていない。日本経済においてかつて見られた「輸出、投資、消費(賃金)」という3段階の成長モデルは、「企業利潤の膨脹、投資増えず、消費や支出も縮小」という緊縮モデルに変わった。企業経営はマクロ経済とのつながりを失ってしまった。

 

 日本の製造業の「堕落」は、グローバル化の波の下での日本経済の環境の巨大な変化の氷山の一角にすぎない。今後、日本企業がいかにモデル転換し、日本経済がいかにアップグレードを実現するかは、日本が復興するか、沈没するかにかかわる重大な問題となる。(文:劉軍紅・中国現代国際関係研究院研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月15日


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