日本の「道路運送車両法」によると、完成検査はメーカーが国に代わって行う、完成車の安全性を最終的に確認するプロセスだ。国から指定を受けた車の原型である「型式」と照らし合わせて、ブレーキやハンドルの性能などを調べる。完成車は本来は国の専門部門が安全性を調べる必要があるが、実際にはメーカーの検査担当者が代行して国の手間を省き、自動車の大量生産を可能にしている。検査担当者の認定基準は各メーカーに委ねられており、メーカーごとに資格の取得に必要な研修の期間、内容、条件は異なる。こうした制度のあいまいさがルール違反行為の道を開いたともいえる。
自動車産業の関係者は、「日本の自動車メーカーは製造の各段階での品質検査を重視しており、『無資格検査』の安全性に対する潜在的危険はそれほど深刻ではないが、日本企業の品質や信用に対する慢心を明らかにしたことは確かだ」と話す。
自動車製造業は日本の基幹産業だが、この「金看板」が近年はしばしばほこりにまみれている。日本トップのエアバッグメーカーのタカタが不合格の欠陥製品を大量に製造し、業界では過去最大規模のリコールが行われ、世界の19メーカーの自動車1億台以上が対象になった。2016年には三菱とスズキが燃費データ不正事件を起こし、三菱の自動車62万台とスズキの軽自動車210万台以上が対象になった。少し前には、日本3位の鉄鋼メーカー・神戸製鋼所がアルミ・銅製品の一部で強度などの性能データを改ざんし、不合格製品を自動車、航空機、軍事産業、高速鉄道など多くの分野のメーカーに供給していた問題があり、トヨタ、三菱、日産を含む日本の自動車メーカーの多くも影響を被った。