中国に何度行ったかは覚えていないが、いつも新しい体験がある。特に近年、中国の科学技術の発展の成果は、日進月歩と形容しても誇張にはならない。
筆者は2003年より、中印両国の友好協力事業のため奔走し、インド訪問団を結成し中国を視察に訪れており、外交界の「模範労働者」と呼ばれている。中国の科学技術は飛躍的に進歩し、科学技術革新が経済モデルチェンジ・アップグレードをけん引する良好な局面を形成中だ。中国は他国の模範となっており、これを誇りとするべきだ。
世界知的所有権機関(WIPO)はコーネル大学などと共同で、2017年の世界革新指数報告書を発表した。中国の世界ランキングは2016年に25位から22位に浮上し、25位以内に唯一入った中等所得国になった。これは中国と先進国の科学技術水準の差が、徐々に縮小されていることを意味する。筆者が体験した高速鉄道、シェア自転車、支付宝、ネット通販という「新4大発明」の他にも、中国は科学技術分野で大きな成果を手にしている。2017年だけでも、中国は宇宙・航空、人工知能(AI)、深海探査などの面で、世界に注目される重大な科学技術革新の成果を手にしている。
中国の科学技術が近年、これほど大きな成果を手にできたのは、40年弱に渡る経済発展の蓄積による結果であり、中国政府の先見性のある長期的な戦略によるものでもある。科学技術は最大の生産力だ。中国はこの信念を曲げず、経済が新常態に入ると、新しい科学技術革命と産業革命の重大なチャンスをつかんだ。科学技術革新能力を絶えず強化し、経済モデルチェンジ・アップグレードに大きな動力を提供し、供給側構造改革を効果的に支えた。中国の産業のミドル・ハイエンドへの邁進を促し、新しい成長の原動力を形成した。
中国政府は近年、科学技術の革新に向けた政策と投資で、深い印象を与えている。経済構造のモデルチェンジとアップグレードを見据え、中国政府はタイムリーに「中国製造2025」を打ち出した。AIや「インターネット+」などの発展を積極的に促進した。投資について、第13次五カ年計画は中国の研究開発費が国内総生産に占める割合を2.5%にし、科学技術による経済成長への寄与度を60%にするとした。今年の「政府活動報告」によると、中国の2016年の特許保有件数は100万件を突破し、技術取引額は1兆元を超え、科学技術進歩寄与度は56.2%に向上した。経済発展を革新で支える効果が大幅に強化された。
筆者は湖南省の農村で、農家が最新の科学技術成果により畑を耕しているのを目にした。新型農具、農業機械、農薬、土壌に驚かされた。筆者は科学技術の経済発展に対する、大きな促進作用を身をもって実感した。科学技術革新は中国の成長方法の切り替え及び構造調整の重要な支え、尽きることなき動力になっている。逆に見ると、経済構造のモデルチェンジとアップグレードも、科学技術革新の土壌を育み、科学技術革新の発展をさらに促進し、好循環を形成している。
現代社会では、科学技術革新で優位性を占めた者が、モデルチェンジと発展の主導権を握る。人件費・原材料・環境保護などのコスト向上に伴い、中国経済・社会の発展が直面する資源・エネルギー・生態環境の圧力がさらに拡大する。中国経済の比較優位にも変化が生じている。労働力資源の比較優位は人口ボーナスの減少により弱まっているが、人口の素養向上が新たな比較優位を形成しようとしている。中国はモデルチェンジ・アップグレードの難題を解消し、自国の発展のボトルネックを突破し、深いレベルの矛盾と問題を解消する必要があるが、科学技術革新はその根本的な手段だ。(筆者・Mohammed Saqibインド中国経済・文化促進会秘書長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月22日