現地時間2日午前2時、米上院は共和党による税制改革法案を可決した。下院・上院で各自の税制改革法案が可決されると、両院は4日より最終版の詰めの協議に入った。米国の税制は30年ぶりの大幅な改正を迎え、その外部への影響は世界的な話題になっている。
資本の米国還流、アジア市場の圧力に
オーバーシー・チャイニーズ銀行大中華圏研究主管の謝棟銘氏はインタビューに応じた際に「アジア諸国では現在、公の場で米国の税制改革による影響が論じられていないようだ。これは税制改革法案が最終的に可決されるか未知数だったからだ」と話した。
謝氏は、税制改革のアジアへの影響は、実体経済と金融市場という2つの角度から見ることができるとした。実体経済について、米国とシンガポールは直接的な競争者ではないため、シンガポールへの影響は少ない。しかし最近注目されている半導体業界は興味深い例だ。半導体大手のブロードコムは、法定本部をシンガポールから米国に移すことを検討しているが、これは税制改革の影響だ。金融市場について、米国の税制改革の物価上昇及び連邦準備制度理事会の利上げに関する予想への影響に注意が必要だ。これは金融市場の変動率が高くなる可能性を意味している。「アジアを見ると、物価上昇への懸念がもたらす金融の変動、株価低下や資本の流出などを防止する必要がある」
欧州主要国、「受け入れられない」
上院での可決への予想が強まると、欧州市場に動揺が走った。先週金曜日の取引終了時、ストックス欧州600指数は0.7%安、仏CAC40指数は1.04%安、ドイツの重要な株価指数のDAX指数も1.25%安となった。欧州株式市場で最も力強い技術系銘柄は1.58%安。独コメルツ銀行のアナリストは「米国の減税措置により、金曜夜の債券市場の見込みが逆転した。これは世界のリスク感情の主な要素になる」と分析した。
世界最大の経済国である米国の減税法案の影響は不可避で、高福利の欧州諸国に衝撃をもたらすという声もある。米国の法人税は35%から20%に低下し、欧州のドルの米国への還流を促す。欧州諸国は資本流出の圧力を迎える。これは回復軌道に乗ったばかりの欧州経済にとって不利益であり、世界経済の不安定要素を増やすことになる。欧州政府は巨額の負債を背負っており、欧州債務危機を深刻化させる恐れがあることから、米国の大幅減税に安易に追随できない。しかし欧州諸国が減税しなければ、利益を求める資本は自ずとより低コストな市場での投資に向かう。投資減少に伴い、欧州は雇用など一連の問題を迎える。そのため米国が減税を決定すると、ドイツやフランスなどの欧州主要国は産業への影響を恐れ、次々と「受け入れられない」と表明した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年12月6日