WTO加盟164カ国のうち、約4分の3は発展途上国だ。中でも後発開発途上国の加盟が年々増え続けていることは、多角的貿易体制の象徴でもあり、包容性のあらわれでもある。1995年のWTO設立以降、中国を含む36の国と地域が新たに加盟したが、このうち発展途上国が圧倒的多数を占め、さらにこのうちの9カ国が後発発展途上国だった。現在もなお20数カ国がWTO非加盟国または加盟申請国であり、このうち圧倒的多数は能力開発を急務とする後発発展途上国となっている。
中国はWTOに加盟することの重要性を深く認識しており、発展途上国の加盟プロセスにおける開発需要も十分に理解している。WTO加盟10周年にあたって「発展」、「ウィン・ウィン」の理念に基づき、中国政府はWTO事務局と共に「後発開発途上国のWTO加盟をめざす中国プロジェクト」(略称「中国プロジェクト」)を立ち上げ、後発途上国を多国間貿易体制へ組み入れ、それによって利益を享受できるよう支援を行ってきた。
「中国プロジェクト」は中国が出資し、中国側と事務局側が共同で協議しプランニングするプロジェクトで、事務局が年度ごとに具体的に実施している。後発途上国のWTO加盟をめざすことをテーマに掲げる円卓会議の開催や、発展途上国のWTO加盟活動に向けた資金援助、後発途上国のWTO会議への参加支援などが含まれる。