世界の家電業界は大まかに3段階を経て発展した。1980年までは欧米が主導、2000年までは日本が主導、2015年までは韓国が主導した。今後の世界家電業界を主導するのは誰か。それは中国である。遅くとも2023年にはその時が来るとみられる。
ここ数年、中国で外資系ブランドの家電を選ぶ人が減っていることに気づいている人もいるだろう。エアコン、カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機、ガス換気扇、ガスコンロ、携帯電話などのどれを見ても、国内ブランドに目を向ける人が増えている。これはひっそりと現れた著しい変化である。
現在、カラーテレビを購入する際に多くの人が最初に考えるのが創維(スカイワース)、海信(ハイセンス)、TCLである。エアコンは格力(グリー)、美的(ミデア)、海爾(ハイアール)、冷蔵庫は海爾(ハイアール)、美的(ミデア)、ガス換気扇は老板、方太、華帝、携帯電話は華為(ファーウェイ)、小米(シャオミ)、OPPOが多いだろう。
8年前はハイエンド電化製品を購入する際にソニー、サムスン、シーメンス、ダイキンなどの中から選ぶ人が多かったが、最近は中国のハイエンド消費者は国内ブランドを検討するようになっている。これは大きくて深刻な変化であり、「中国製」が消費者にとって「ミドル・ローエンド商品」の代名詞ではなくなったことを示す。
これは、中国の家電が世界家電業界の主導者になることを示すと考えられる。ひっそりと発生したこの変化は、中国市場から世界市場に拡張する過程である。
ドイツやイタリアの一部欧州市場で、海爾ブランドの家電製品はシーメンスやボッシュなどと同じクラスになり、ハイエンド市場で競争を繰り広げている。海爾傘下の卡薩帝(Casarte)は高級家電の代表にもなっている。
中国家電の世界での台頭は、中国が発展途上国から先進国へとモデル転換する過程でもある。
2017年の美的集団の研究開発費は85億元超で、前年の60億元の40%増となった。18年は100億元に増加する見通し。研究開発費が多いほど、企業の商品競争力は高まる。華為がその良い例である。
世界の企業は「市場は商品にかかっており、商品は技術にかかっており、技術は研究開発にかかっている」という基本認識を持っている。研究開発への重視は商品への重視であり、企業が市場を勝ち取るもとになる。
2005年頃に日本家電の世界における中心的立場が韓国に渡った時、日本社会は冷静で驚きもしなかった。これは1980年代に米国家電が日本に越えられた時に米国民が冷静だったことと似ている。
近ごろ、韓国家電の世界における中心的立場が中国企業からの試練に直面しているが、韓国人は騒いでいない。
実は、韓国家電が日本を越える時、日本の家電企業はすでにモデル転換を開始していた。家電は主要業務ではなくなり、新エネルギー電池、原子力発電、医療設備などの分野で新たな優位性を築いていた。パナソニックはテスラモーターの世界最大のバッテリー供給業者になっている。
さらに、日米の多くの国が家電分野から撤退したが、世界のデジタル技術、ディスプレイ技術の特許を今も握っている。そのため、日米の家電分野撤退は開発と標準からの撤退ではなく、製造と販売からの撤退であると言える。
全体的に言って、中国家電は2大コア競争力の要素となるブランドと技術において、国際ブランドとまだ差がある。今後5年で中国は弱点を補い、ブランドと技術の2つが整えば、中国家電が世界を主導する時代が来るだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年4月20日