ドバイ郊外の広い砂漠で、中国人科学者が干ばつ耐性を持つ稲を眺めていた。彼らは砂と薄めた海水を使い、稲を植えている。科学者の40年に渡る奮闘が、ついに実を結ぼうとしている。10日付英デイリー・テレグラフ紙が伝えた。
稲は通常、砂や海水の中ではなく、淡水と土の中に植えられる。日中の気温が50度に上がり砂塵に見舞われるドバイで、稲の栽培は厳しい課題に直面している。中国青島海水稲研究発展センターの科学者は今年1月、この砂塵が舞い上がる国で塩・アルカリ耐性稲を植えた。その生産量は1ヘクタール当たり7.5トン以上。同センターの責任者、中国「ハイブリッド稲の父」と呼ばれる袁隆平氏は、試験結果が予想以上だったと話す。彼が率いるチームは研究拡大を計画しており、今年上半期にドバイで100ヘクタール海水稲実験農場を経営する予定で、かつ野心あふれる提案を行った。アラブ首長国連邦の領土の10%を稲で覆うというのだ。同センターの張国棟副主任は、ベトナム、インド、スリランカなどのアジア諸国と、海水稲栽培協定を結ぶことを検討中と話した。
中国メディアの報道によると、同センターは中東と北アフリカの各地で「人工オアシス」を作る予定で、すべてのアラブ諸国に利益をもたらし、現地人の貧困・飢餓脱却を促す。中国人研究者は現在、青島の浜辺の塩・アルカリ土壌で海水稲を栽培しているが、中国は全国15億ムーの塩・アルカリ土壌のうち、約3億ムーを畑に改良する潜在力を見出している。これは英国全体の国土面積にほぼ相当する。国際コンサルティング会社の上席アナリストも、ドバイの実験について「非常に重要な突破」と話している。しかし「この新種の作物の大規模な栽培には、重大な壁が存在している。これは主に、貧困地域の監督管理規定や資金調達に関することだ。彼らがこの新種を使用できるようにすることは、(海水稲の)すべての潜在力を引き出す重要な一歩になる」とも指摘した。
世界最大の稲栽培国である中国は食糧不足を懸念する必要がなく、近い将来に自給自足を実現する可能性が高い。中国からハイブリッド稲の支援を受ける多くの国が、「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)イニシアチブに広く参与している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月23日