ハーレーが生産ラインを移転、米保護貿易主義の自然な結果

ハーレーが生産ラインを移転、米保護貿易主義の自然な結果。

タグ:ハーレー 生産ラインを移転

発信時間:2018-06-29 10:42:54 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 米ハーレーダビッドソンは月曜日、米国製バイクに対するEUの報復関税を回避するため、一部の生産ラインを国外に移転すると発表した。同社によると、米国の鉄鋼・アルミ製品への追加関税にEUが報復するため、バイクの関税を6%から31%に引き上げたことから、同社のEUでの販売価格が2200ドル高騰することになる。同社のコストは1年で約1億ドル増加する見通しだという。


 トランプ政権は貿易戦争の気運を高めるため、欧州市場で関税をかけられたハーレーの例を用い、米国の利益のために戦っているとした。ところがハーレーは急きょ移転を発表し、ホワイトハウスに「しっぺ返し」をしたかのようだ。トランプ氏は直ちにツイッターに「最初に白旗を揚げたのがハーレーであるのに驚いている」と投稿した。それから続けざまに5回ツイートし本件について説明し、ハーレーを脅しつけた。


 トランプ氏がハーレーについてこれほど多くの発言をするとは、極めて異常だ。EU通商当局者は、ハーレーの決定は米国の保護貿易主義政策の自然な結果だとした。


 これは確かに喜劇じみている。トランプ政権がハーレーの肩を持とうとしたのに、ハーレーはその手には乗らず移転で態度を示した。これは大統領に「わが社を助けると言いながら、実際には損失を与えている」と言っているようなものだ。


 ハーレー1社が1本の生産ラインを移転したところで、米国経済に大きな痛みをもたらすことはない。米国経済が好調で雇用率も上昇し、楽観的な声が広がる中であればなおさらそうだ。しかしハーレーの措置はトランプ氏の貿易政策に対して、一般人が見ても分かる「低評価」をつけた。


 貿易戦争が始まろうとしている。ホワイトハウスは多くのメリットを掲げており、トランプ氏も発言に責任を持ち、行動で結果を出す印象を与えている。しかし次の重要な結論が、徐々に明瞭になろうとしている。


 (一)米国はどの国も屈服させていない。中国、EU、カナダ、メキシコといった米国にとって重要な貿易パートナーが反発している。彼らは「反米同盟」を構築していないが、各自の抵抗により大きな流れを作り、励まし合っている。


 (二)貿易戦争は米国が一方的に勝利し、相手国が一方的に負けるという局面をもたらさない。米国は相手国に痛みを与えるが、自国にも痛みをもたらす。しかも「相手の方が痛い」からといって米国の痛みを消すことはできない。この道理は徐々に明瞭になってきており、多くの米国人が理解するようになるはずだ。


 (三)貿易戦争は世界貿易体制を損ねるが、この体制は本当に米国にとって重要ではないのだろうか。その真逆の証拠が徐々に増えている。


 すでに始まった貿易戦争はまだ小規模だが、7月6日に米国が総額340億ドルの中国製品に追加関税を導入し、世界的な貿易戦争の幕を開けば違った展開になる。現在はまだ小規模な地震だが、大震災が間もなく発生するという噂、それに伴う恐慌が広がり続けている。


 貿易紛争について、国に強弱はあるが最も強いのはルールだ。米国は中国やEUと戦っているのではなくルールと戦っている。そのため強者のように見えるが、実際には弱者になっている。ハーレーの移転はそもそも大事ではないが、本件そのものの意義を上回る衝撃を生む。ルールが存在することを証明し、米国社会を不安にさせる流れを浮き彫りにする。その影響にはさらに、政治化の強い潜在力が含まれる。


 米国の貿易戦争ツールはすべての単独の経済体よりも豊富だが、トランプ政権は世界との貿易戦争の痛みに対する米国社会の許容力を過大評価している可能性が高い。最も重要なのは、他国は受動的に痛みに耐えているため、国民に説明をする必要がほとんどないことだ。しかし米国は異なり、全面的な貿易戦争が勃発すれば、トランプ政権はその理由について説明し、正当性を証明し続けなければならない。


 常識から外れたことをすれば、政治面でも世論面でも薄氷を踏まなければならない。これは経済ルールからの懲罰リスクの他に、トランプ政権が直視しなければならない政治の鉄則だ。



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月29日


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