米通商代表部(USTR)は現地時間10日、新たな追加関税リストを発表し、総額2000億ドルの中国製品に10%の追加関税を導入すると発表した。中米貿易戦争のエスカレートは不可避だろう。
それではこの衝撃的な2000億ドル規模のリストは、本当にこの数値と同じほどショッキングな内容なのだろうか。
USTRが先ほど発表した、中米双方の輸出入データと結びつけて分析していこう。まず中国の対米輸出構造を見ると、米国の2016年の中国からの輸入額は4626億ドルで、中国は米国にとって最大の商品供給国となった。輸入額が大きかったのは電子機械類製品(1290億ドル)、機器(970億ドル)、家具・寝具(290億ドル)、玩具・運動用品(240億ドル)、靴類(150億ドル)。また中国からの農産物輸入額は43億ドル(中国は米国にとって世界3位の農産品供給国)で、うち高い割合を占めたのは加工済み果物・野菜(11億ドル)、果物・野菜ジュース(3億2800万ドル)、ファーストフード・軽食類食品(2億1300万ドル)、生野菜(2億500万ドル)、茶葉(1億5200万ドル)。
リストの中身を見るならば(具体的な金額はまだ不明)、中国の輸出に最大の影響を及ぼす品目に追加関税が集中していない。大きく取り上げられている食品(各種農産物を含む)、紡績品、化学製品などが中国の対米輸出に占める割合は非常に限定的であり、製造業の一部には多くの外資が含まれる(USTRが先ほど発表した政策によると、この部分の輸出は追加関税の免除を申請できる)。こうして見ると、中国の輸出に一方的かつ力強い直接攻撃を仕掛けるのが、容易でないことが分かる。また中国の農産物輸出規模はそもそも限定的であり、軽工業の内部消化能力も高めで、人件費のメリットが(縮小中ではあるが)依然として存在している。輸出商品の代替市場の選択でも、大きな余地が残されている。