中国科学院院士、汎第三極環境特別プロジェクト責任者の姚檀棟氏はこのほど、中国人科学者が地上・上空・宇宙を網羅する最新技術を用い、汎第三極の環境の変化を立体的・総合的に観測すると発表した。
汎第三極とは、青蔵(チベット)高原、パミール高原、イラン高原、コーカサス山脈、カルパティア山脈などのユーラシアの高標高地帯、及びその水文プロセス影響エリアで、面積は2000万平方キロメートル以上にのぼる。その環境の変化は、30億人以上の生存に影響を及ぼす。
この総合的かつ立体的な観測システムには、次の内容が含まれる。宇宙空間の衛星観測。上空の低空無人機、リモートセンシング機、係留型飛行船、ラジオゾンデ。地上の気象レーダー、降雨レーダー、自動気象ステーション、風力測定レーダー車両、境界層タワーステーション、無人船、超音波風力・気温測定器。
汎第三極地域はシルクロード経済ベルトと重なる。中国は9月に汎第三極環境特別プロジェクトを開始した。同地域の自然条件・環境変化及びその影響を研究し、関連基礎科学、応用研究、技術革新、政策提案を統合する。
先ほど設立された「一帯一路」国際科学組織連盟は、初めて一帯一路イニシアチブの枠組み内で、沿線諸国の科学研究機関と国際機関が共同発起・設立した、総合的国際科学技術組織だ。姚氏は、これは一帯一路沿線諸国・地域の科学技術協力を強化し、気候変動の影響の激化に伴う課題に共に対処することを促すと強調した。
科学観測によると、激しい気候変動により「アジアの給水塔」と呼ばれる第三極のバランスが乱れており、氷河の減退が激化している。姚氏は「気候変動に対応し生態環境を保護するため、世界は共通認識を形成し、かつ体系的な計画を早期制定するべきだ」と呼びかけた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年11月7日