多国間貿易体制の維持と紛争解決メカニズムの保障・改善を図るため、EU、中国、カナダ、インド、ノルウェー、ニュージーランド、スイス、オーストラリア、韓国、アイスランド、シンガポール、メキシコなど世界貿易機関(WTO)加盟国は11月22日、WTOへ紛争解決上訴プロセス改革案を連名で提出し、その上で12月12日のWTO総会で声明の発表を予定している。
中国商務部は、中国とEUがその他のWTO加盟国と連名で改革案を提出したことについて、加盟国が上訴プロセスに注目していることに対応し、その問題解決を図ることが狙いと説明。WTO上級委員会の独立性と公正性の維持と強化に加え、上級委員会委員人事選定プロセスの早期再開を目指すとしている。
同改革案は、WTOの改革を推進し、WTOの存続を脅かすカギとなる問題を優先的に処理するために中国が打ち出した具体案で、中国とEUがWTOの改革について共同で取り組んだ成果となる。
中国商務部は、紛争解決メカニズムがWTOの中心的機能で、多国間貿易体制の信頼性と予見性の維持、加盟国間の貿易紛争の迅速な解決、WTOの効果的な運営の確保において大きな作用を発揮してきたと指摘している。上級委員会は、WTOの上訴案件を専門に審議する常設機関で、紛争解決メカニズムの大きな構成要素だ。現在、WTO加盟国による上級委員会の委員人選を妨害する動きがみられ、これが紛争解決メカニズムの正常な運営を著しく脅かし、多国間貿易体制の正常な運営に体制的なリスクをもたらしている。上級委員会の委員人事問題は、WTOが直面する切迫した危機で、出来る限り早期に解決しなければならない。
また、中国がWTO上級委員会の委員人事の危機的問題を注視しており、その他のWTO加盟国と速やかに協議を行い、上級委員会の人事選定作業を早期に再開し、紛争解決メカニズムの正常な稼動を共同で保障することで、多国間貿易体制の維持に努めたいとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年11月27日