本部をジュネーブに置く国連貿易開発会議(UNCTAD)は21日、世界の直接投資(FDI)が2017年の1兆4700億ドルから18年に1兆2000億ドルに減少し、3年連続の減少により世界のFDIは金融危機後の最低水準になったとする報告を発表した。
UNCTADが同日発表した『世界投資報告書』によると、2018年の世界のFDI減少は主に先進国に集中し、流入額は40%減の約4510億ドルになった。一方、発展途上国へのFDI流入額は堅調な伸びを示し、3%増の8940億ドルだった。
UNCTAD投資担当責任者のジェームズ・ザーン氏は、世界のFDIの大幅減の主な原因は、米国の税制改革実施に米国の多国籍企業が蓄積した海外利益が大量に米国に戻り、かつてこれら企業の財務センターの役割を担っていたアイルランドやスイスなどの欧州諸国のFDI流入額が未曾有の減少となったためだと分析。
地域別で見ると、欧州と北米へのFDI流入額はそれぞれ73%と13%減少し、世界のFDI減少の主な要因となった。アジアの発展途上国への流入額は約5020億ドルで5%増加した。
UNCTADは、2019年の世界のFDIは回復するが、勢いは弱いと予想する。報告は、先進国へのFDI流入額は底打ち後に回復するが、グローバル経済の成長予想の下方修正、複雑な貿易環境、投資政策環境の不確定性、米国の多国籍稼業の利益再投資の潜在力が弱いことなどは世界のFDIに変動リスクをもたらすと見ている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年1月24日