5G技術の難関突破が必要
中国工業・情報化部は今年1月、わが国の5G技術の研究開発・試験における第3段階のテストがほぼ完了し、5G基地局とコアネットワーク設備がプレ商用化の基準に達したと発表した。「5G分野において、わが国は間違いなく世界の先頭集団に入っている」余氏によると、中国企業の5G関連の知的財産権と技術水準は世界トップだが、ZTEが米国から「首」を締められた件を見ると、世界の5G中核技術をめぐる競争が日増しに白熱化していることが分かる。
しかし中国の中核技術にはまだ、難関突破が必要な部分がある。余氏によると、5Gの世界基準の発表後、さらにチップの改良に向けた設計、基地局の設備の製造などが必要だ。かつチップ・ソフト・設備の各種指標、すなわち体積・重量・安定性・信頼性・コストなどには厳しい条件が設けられる。コアネットワークの条件も厳しくなる。「これは即座に対応できることではない」
また5Gの大規模商用化について、コストと収益性について考える必要がある。基地局の設置には巨額の投資が必要だ。「1兆元クラスの投資になるだろう」余氏によると、この投資はどの通信事業者にとっても巨額であり、投資収益率についても重点的に検討しなければならない。「例えば5Gの使用開始後に、どのようなキラーコンテンツが出るだろうか。不可欠かつ象徴的な事業とは何か。5Gはいかにして利益を生むのか」余氏は、これらは5Gの大規模商用化に影響を及ぼす要素と判断した。
今年の「部長通路」において、中国工業・情報化部の苗圩部長は、記者からの「5G許可証はいつ発給されるか」という質問に対して「間もなく」と回答した。余氏によると、これは5Gの3大シーンの一つである超広帯域通信事業者のネットワーク利用資格を指している。余氏はこれを5G先行商用化分野と見ており、その後の産業のインターネット、車載ネットワークなどにも期待できる。
今後20年に渡るネットワーク通信技術の発展は、人・ネットワーク・モノのすべてを繋げる。ネットワーク空間が絶えず拡大・充実化し、無限の可能性を生むことになる。「5G時代のチャンスをつかむには創造力が不可欠であり、決断力も必要だ」しかし余氏は、5G時代においてはすべてが可能性を持ち、IoTがモバイルネットワークに続く新興産業のエンジンになると判断した。「今後20年内に、インターネットを担い手とし、わが国の情報経済産業の年間生産額がGDPの半分を占めるようになるだろう」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年3月15日