5G、産業のインターネット(インダストリアルインターネット)などのテクノロジー関連のキーワードが会期全体を貫き、代表らの議論の焦点になった。全人代代表、中国工程院院士、中国情報通信科技集団有限公司副総経理の余少華氏は中国網の独占インタビューに応じた際に、次のように述べた。
現在の世界はデジタル化・ネットワーク化・スマート化の段階にあり、「ネットワーク情報世界、自然世界、人類社会」の深い融合が生じている。私たちは百年に一度のチャンスをつかみ、発展の新たな動力を求めなければならない。世界各社は5Gをめぐり激しく競争を展開している。中国企業の5G関連の知的財産権及び技術水準は世界の先頭集団に入っているが、将来的にはさらに中核チップ、OS、超密集ネットワーク(UDN)、産業のインターネット、車載ネットワークなどの技術に取り組まなければならない。
すべてがネットと繋がる5G時代
数GBの映画を数秒でダウンロードする。ストリーミング配信、高画質テレビ、VR、スマホゲーム、ナビ、取引、遠隔操作など即座の反応を必要とするネットワーク伝送が途切れなく行われる。5G時代の最も基礎的な変化は、私たちがよりスピーディーかつスムーズなオンライン体験を楽しめるようになることだ。余氏によると、5Gの帯域幅は4Gの数十倍から百倍で、1平方キロメートルあたりのユーザー数が大幅に増加する。より高速でカバー範囲が広く、より大規模な接続を実現し、遅延をさらに短縮し、より信頼性が高いといった長所がある。「各指標の数桁の向上が期待できる」
それから、人々が憧れる「すべてがネットと繋がる」時代だ。余氏によると、この時代においては住宅や自動車など大きな物から各種家電など小さな物まで、さらには化学反応における分子・原始の変化までが、ワイヤレスで相互接続する。さらにリアルタイムのデータ取得、自動化制御を行う。
全人代代表、松下家電(中国)有限公司キッチン・バスルームスペース事業部係長の劉廷氏も研究開発中の製品を例にし、次のようなシーンを描き出した。朝起きてトイレに入ると、スマート便座が自動的に尿の成分を分析し、健康状況の各種データを化粧鏡に映し出す。同時にこれらの健康データに基づき健康的なレシピを作る。リビングの冷蔵庫はこれらのレシピを受け取り、自動的にその日の食材を購入する。30分後、健康状況に基づく最良の食材が自宅に届けられる。これはSF小説ではなく、5Gの大規模商用化が実現された後の近い将来、人々の日常生活の風景となる。
中国の現在の人口は14億人弱だが、生活における複数の家電及び生活用品がネットと繋がれば、「これは端末数1000億台の目標を達成する」という。余氏は、これにより大きな変化が生じると判断している。
産業のインターネットも、5Gの重要な応用シーンだ。余氏によると、産業のインターネットは工場内の物流・データの流れ・人の流れ・資金の流れなどの情報をすべて一つにする。こうすることですべての生産工程を正確に把握し、生産コストを最大限に引き下げ、生産効率を上げることで、メーカーの競争力を飛躍的に高めることができる。
余氏は「産業のインターネットの特徴はトレーサビリティだ。当社の光通信設備の年間出荷台数は百万台以上で、全国各地に向け販売する。産業のインターネットを応用することで、仮にある設備が急に故障した場合、回路基板を取り外すことでそれがいつ生産されいつ出荷されたのか、壊れた部品はどこのものか、どのサプライヤーから供給されたかなどを直ちに知ることができる」と話した。余氏によると、産業のインターネットは伝統的な製造業をバリューチェーンの川上に押し上げ、設備・システム・工場・地域を跨ぐ相互接続を実現する。製造サービス体制全体のスマート化を促し、サービス型製造の発展を促す。