ボアオ・アジアフォーラムは26日、2019年度の4大学術報告書「アジア経済一体化進捗報告書」「新興経済体発展報告書」「アジア競争力報告書」「アジア金融発展報告書」を発表した。うち「アジア金融発展報告書」は初発表となった。
この4つの年間報告書は、アジア経済及び地域協力が逆風のなか前進する見通しを示した。
「アジア競争力報告書」は、不利な外部環境を迎えたアジアの経済体は、改革を引き続き推進し、企業のビジネス環境を絶えず改善すると指摘した。アジアの主要経済体は確かな発展を維持し、世界の経済発展を引き続き支えるメインエンジンの一つになった。同報告書によると、27の経済体のポイントが前年より上がり、かつ各経済体間の差が縮まっている。これはより健全でバランスの取れた全体情勢を反映している。
「アジア金融発展報告書」はインフラの面から地域一体化の進展を振り返り、アジアのインフラの融資が不十分という発展の苦境を分析し、関連する政策の提案を行った。同報告書によると、インフラの不足と低効率は一部の国の経済・社会の発展を妨げるボトルネックになっており、経済が最も発展している東アジアでもインフラ投資の不足が存在する。インフラ建設は貿易・投資の成長、貧困削減、発展の促進に対して大きな力を発揮する。
今年のボアオ・アジアフォーラム年次総会は「共同の運命、共同の行動、共同の発展」をテーマとする。このテーマはアジア各国にとって重大な意義があるとする観点もある。新たなハイレベル地域貿易協定及び相互接続の実行に伴い、アジアの新興経済体は世界経済の重要なエンジンであり、また引き続きグローバル化の重要な推進者になる。これは経済成長に新たな動力を提供する。
国際通貨基金(IMF)の張涛副専務理事は「経済成長の不確実性に対応するためには、アジア経済の一体化を促進するため取り組み続ける必要がある。すべての非関税障壁を撤廃すれば、今後10年前後のうちにアジアのGDPが10−15%増加することになる」と指摘した。
「アジア経済一体化進捗報告書」の統計によると、アジアでは2017−18年に17の新たな自由貿易協定が署名された。約70の二国間協定が現在も交渉中で、さらにはCPTPPやRCEPなどのハイレベル協定の交渉が大幅に加速している。アジア太平洋地域は地域主義が最も活発な地域の一つであり、アジア経済の自身への依存度が高まり続けている。
「アジア金融発展報告書」は、スマートでグリーンで持続可能な高品質インフラの需要の拡大に伴い、アジア及び地域内外の国がさまざまな相互接続の提案を行うと指摘した。多国間開発機構を中心とする国際機関と各国の開発型金融機関が、インフラ融資でより重要な影響力と推進力を発揮し、アジア一体化に確かな物的基礎を提供する。
革新も本フォーラムのキーワードとなっており、それが育む成長の新たな動力についても活発に議論されている。
張氏は、アジアと新興市場の経済体が不確実性に対応するためには、全力で革新をサポートする必要あると判断した。革新がもたらす一連の新技術は効率と労働生産性を高める。「過去20年間に渡り、情報通信技術などの各種技術が1人あたり収入の増加分の3割を占めた。革新の支援ほど、成長を促進する良い方法は見つからない」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年3月27日