中国国務院は15日に記者会見を開き、政府活動報告の83カ所の修正箇所を発表し、説明を行った。一部の株式投資家は、水素燃料電池車関連の水素ステーションなどの施設の建設推進の修正に注意している。18日の取引開始から数分後、燃料電池関連銘柄の時価総額が40億ドル以上も増加し、うち複数の銘柄はストップ高となった。ブルームバーグが伝えた。
中国政府は補助金やその他の政策により、10年もかけずに世界最大の電気自動車(EV)市場を作り上げた。この市場には問題と限定性があるため、政府は脱炭素交通ツールの多元的な発展を目指している。そのため燃料電池という技術が中国から注目されている。
燃料電池は蓄電池と同様、自動車運転を支える電力を生む。ただし似ている点はほぼこれだけだ。蓄電池は大型で重さもあり、かつ充電が必要だ。使用する電気は再生可能エネルギーの場合があれば、そうでない場合もある。その一方で燃料電池は水素と酸素の化学反応により電力を生む。充電の必要がなく、車に水素タンクを取り付けるだけで良く、軽量だ。しかも蓄電池より多くのエネルギーを蓄えることができる(そのため航続距離も長い)。蓄電池車の充電にかかる時間は往々にして数時間にのぼるが、水素燃料電池車は数分で燃料注入を終える。これは従来のガソリン車に近い。
もちろんそれほど容易なことであれば、水素燃料電池車はとっくの昔にEV(及びガソリン車)を圧倒していることだろう。水素燃料電池車の発展を妨げる、いくつかのボトルネックが存在するのだ。まず、燃料電池は車の中で最も高額な部分であり、そのため長年に渡りEVと比べ競争力が劣っている。次に、燃料電池はクリーンエネルギーに見えるが、水素は石炭を含む化石燃料から得られる場合が多い。目標がCO2削減であればこれは問題になる。また、水素燃料インフラ(パイプラインや水素ステーション)はコストが高く数も少ない。中国で水素ステーションを1カ所設置する場合、そのコストは約150万ドルになる。中国で現在使用されている水素燃料電池車は5000台未満であり、このような投資が難しいことが分かる。
中国は水素燃料電池車で、EVの成果を複製することができるだろうか。水素燃料電池車の発展は難航が予想されるが、中国には競争相手よりもいくつか有利な点がある。まず、中国の安定的な政策だ。次に、中国の世界に先駆ける再生可能エネルギー産業が生み出す大量の排気エネルギーで、これを別の用途に用いることができる。これはつまり、保存・輸送可能な水素ガスを生産できるということだ。最後に、中国には潤沢な資金があり、直接的な市場が存在しないインフラへの投資に意欲的だ。これは水素ステーションと関連施設の建設にとってのメリットだ。中国の過去のEV産業形成の成功経験から見ると、脱炭素交通輸送の次の段階において、中国が最終的にリーダーになることがなくても、高い実力を持つ競争者になることが分かる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年3月30日