北京大学が発表した「中国経済安全展望報告2018−19:世界構造の変化における中国経済の安全情勢分析」によると、中国経済は大きな消費の潜在力を持ち、消費拡大が中国経済発展の長期的な任務となる。中国は経済成長と消費拡大の好循環を形成しなければならない。
「消費の経済成長への寄与度が近年着実に向上しているが、中国は消費拡大や国内市場の育成で一連の課題に直面している」北京大学国民経済研究センターの蘇剣主任は、消費構造は所得増に伴い変化するプロセスであり、同時に消費アップグレードのプロセスでもあるとの観点を示した。国の具体的な消費構造の変化のペースや現れ方は異なっているが、全体的な流れは一致する。米国、日本、韓国の経験を見ると、1人あたりGDPが増加すると、食品、衣料品、日用品などの非耐久消費財の消費が占める割合が徐々に低下し、家電や自動車などの耐久消費財の割合がさらに上昇する。またサービス消費の割合も所得増に伴い上昇する。
中国の消費市場の構造は近年、次の3つの変化を示している。まず、食品及び衣料品の消費の割合が低下している。次に居住及びサービスの消費の割合が上がっている。それから耐久消費財を代表する家庭設備用品及びサービス消費の割合にほぼ変化が生じていない。
蘇氏は「このように、中国の消費構造の変化はほぼ国際的な慣例と合致する。所得増に伴い、基本的な生活の需要を満たす消費が徐々に低下し、改善型消費の割合が上昇を続ける。この変化により、中国の産業構造は消費需要構造の変化についていく必要がある。中国人消費者は海外でショッピングに意欲的だが、これは中国の産業構造と消費需要構造のアンバランスを反映している」と指摘した。
専門家は、中国はGDPに占める可処分所得の割合を高め続けると同時に、社会保障制度の健全化を続けるべきだと提案した。一般人の懸念と生活に存在する不確実な要素を払拭することで、限界消費性向(所得の増加分のうちの消費の増加分にあてられる割合)を強めるべきだ。
注目すべきは、同報告が養老、インターネット、自動車などの、今年の消費の注目分野を予測したことだ。
蘇氏は「マクロ調整から見ると、消費をさらに推進するためには、より多くの資金を実体経済に投入し、金融の実態経済発展への貢献を強めるよう導くべきだ。同時に革新と創業をさらに推進し、社会全体の大衆創業・万衆革新の活力を引き出すことで、新たな消費と連結し新たな供給を生み、消費アップグレードに絶えずエネルギーを注ぎ込むべきだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年4月22日