米国はこれまで「箔付け」になる留学先として、中国人の間で一番人気だったが、ほどなく、その座を英国に取って代わられるかもしれない。英紙デーリー・テレグラフ電子版がこのほど、留学コンサルティング会社の最新調査結果として報じた。
中国人の間では留学先として欧州の人気が高まっている。中でも英国を第1希望に挙げる人の割合は20%に上ったのに対し、米国を第1希望に挙げる人の割合は17%に激減した。同紙によると、このところの米国政府による一連の政策を受けて、我が子を米国に留学させようと考えている中国人の親の間では、留学先を慎重に選ぶ傾向がみられるようになったという。
米国の留学エージェントに勤める李博士は中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」の取材に対し、「米中貿易戦争が米国での学位取得後の進路にどのような影響を及ぼすだろうかと、多くの親が憂慮している」と指摘。貿易戦争が直接留学生に影響することはないが、両国間の緊張関係が人々の不安を掻き立てる恐れがあるとの見方を示した。「留学先としての米国の人気が低下した最大の理由は『卒業後の就職』にある」。李博士は、米国政府が打ち出した様々な政策によって、留学生が卒業後に米国で働ける機会が減っていると指摘した。
5月29日付け英紙デイリー・メールによると、米国政府が中国からの輸入品に追加関税をかけるなど圧力を強めたことで、米国にある中国資本の企業や機関の多くが採用計画の縮小や見合わせを行うなどしたため、中国人留学生はこれまで以上に就職先をみつけにくくなっているという。